無形文化遺産にパーントゥ/島尻と野原
ユネスコで正式登録決定/10件の「来訪神の神々」
インド洋のモーリシャスで28日から行われている国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産保護条約政府間委員会の審査で、日本政府が候補として申請していた宮古島のパーントゥ(平良島尻のパーントゥと上野野原のサティパロウの総称)など国指定重要無形民俗文化財である伝統行事10件からなる「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録することが正式に決定した。
今回「来訪神 仮面・仮装の神々」として無形文化遺産に登録されたのは、すでに登録されている甑島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)のほか、男鹿のナマハゲ(秋田県男鹿市)、能登のアマメハギ(石川県輪島市・能登町)、遊佐の小正月行事(山形県遊佐町)、米川の水かぶり(宮城県登米市)、見島のカセドリ(佐賀県佐賀市)、吉浜のスネカ(岩手県大船渡市)、薩摩硫黄島のメンドン(鹿児島県三島村)、悪石島のボゼ(同県十島村)、宮古島のパーントゥ(宮古島市)の8県で行われている10件の伝統行事。
「来訪神 仮面・仮装の神々」とは、節目となる日に仮面や仮装の異形の姿をした者が「来訪神」として家々を訪れ、怠け者を戒めたり人々に幸や福をもたらしたりする行事のこと。
日本政府は2011年、男鹿のナマハゲを単独で提案したが、既に登録済みだった甑島のトシドンとの類似性を指摘され登録が見送られた。16年にトシドンを拡張する形で10件を一括提案したが、この年は各国から審査件数の上限を超える提案があったため、過去の登録件数が多い日本の審査は1年先送りされ、翌17年に再提案。今年10月24日に開かれたユネスコ評価機関による事前審査で登録するよう勧告されていた。
国内から無形文化遺産に登録されるのは16年の「山・鉾・屋台行事」以来。現在の登録数は21件で、今回の来訪神は甑島のトシドンを拡張する形での提案だったことから登録件数は増加しない。沖縄からは10年の「組踊」以来の2件目となる。