砂川保育所 休園へ/耐震調査し存続検討
住民反発、保育継続訴え
市立砂川保育所が休園の見通しとなった。施設の老朽化が激しいためで、期間は2019年度の1年間となる。市が27日夜、保護者や住民に説明した。先月示した「廃止」の方針は事実上棚上げし、耐震調査を入れた上で存続を含めた検討に入る。ただ、保護者や地域住民は強く反発し、仮園舎を設置してでも保育を継続するよう訴えた。
市は先月11日に開いた説明会で、保育所を廃止する方針を示したが保護者の理解が得られず、持ち帰って再検討を始めていた。
だが、同26日に保育所内でコンクリートの一部が剥離し、落下した。児童や職員にけがはなかったが、市は室内で起こったコンクリートの剥離は重大な事故を招きかねないと判断し、安全を最優先に1年間の休園措置を決めた。建物の別の場所でも部分的な剥離が見られるほか、漏水が発生したことなども勘案した。
来年入所の児童については上野こども園を指定することを確認事項とし、建物の耐震診断を実施する予算を市議会12月定例会に提出することも取り決めた。
2度目となる27日の説明会で、市はこれらの方針を説明した。下地律子福祉部長は「子どもと職員の安全を第一に考えたい。来年1年はここで保育をするという考えには至らない」などと話して理解を求めた。
ただ、保護者や地域の住民は「1年間休園となればそれで終わりになる。ここに戻ってくることはできないのではないか。復活すると約束できるのか」と問い詰めたり、「私たちは休園ではなく、園の存続を求めている」という意見を出したりして再考を促した。
仮園舎を設置して継続を求める声もあった。これに市は「仮園舎のことはすぐに考えて見積もりを何社かにお願いしたが、資材も足りないということで『時期的なことは言えない』ということだった」と答え、建設ラッシュが続く現状での仮園舎設置には限界があるとの見通しを示した。
説明会は開始から約3時間に及んだが、議論は最後まで平行線をたどり、保護者側の理解は得られないまま閉会となった。市は仮園舎の設置を含め、「状況の変化があれば再度説明会を開きたい」としている。
市は関連予算の議決を得て年明け早々にも耐震調査を入れる。その結果を基に砂川保育所の運営方針の検討を進める考えだ。在園児の入所調整については個別相談等で対応する。