世界のパーントゥに歓喜/無形文化遺産登録
ネット中継で審査視聴/島尻住民「守り続ける」
宮古島のパーントゥを含む「来訪神 仮面・仮装の神々」が29日、ユネスコ無形文化遺産に登録されることが決まった。審査の様子をネット中継で見守っていた平良島尻地区の住民は歓喜し、「世界に認められたパーントゥを大切に守り続けたい」とかみしめた。
ネット中継は午後2時過ぎに始まった。市教育委員会がある市役所城辺庁舎には決定の喜びを共有しようと島尻自治会の住民らが集まり、大きなスクリーンに映し出される審査の様子を固唾をのんで見守った。
8県10件で構成される日本の来訪神の決定は午後4時30分ごろ。この瞬間、市役所には歓声と拍手が響き渡り、住民や教育委員会の職員は顔を見合わせて握手をしながら喜んだ。
島尻自治会長の宮良保さん(60)は「とにかくうれしい。世界に発信できるパーントゥになった」と感慨深げ。「無形文化遺産に登録されたことで、観光面や経済面で大きな発展が期待できる」と語った。
ただ、「登録されたからといって何かが変わるわけではない。私たちは今まで通り、この伝統を継承していきたい」と引き締めた。
同じ島尻自治会の辺土名忠志さん(57)も「とても良いことで、心からうれしく思う。登録決定を地域全体に広めていきたい」と喜んだ。「パーントゥには無限の可能性がある。これからも守るべきものをしっかりと守りたい」と話した。
住民とともに審査の様子を見守っていた市教育委員会の宮國博教育長は「本当に良かった」と安堵の表情を浮かべた。喜ぶ住民の姿に目を細め、「長い間この伝統を脈々と引き継いできた地域は素晴らしい。世界に認められたことを住民の皆さんと共に喜びたい」と地域への敬意を込めた。
ユネスコ無形文化遺産に登録される「宮古島のパーントゥ」は、平良島尻のパーントゥと上野野原のサティパロウの総称。それぞれ正式な登録を待って地域で祝賀会を開く予定だ。