子を「支配」せず「尊重」を
虐待防止で講演会/中島幸子さん講話
2018年度県子ども虐待防止推進事業「トラウマを抱えた子ども達~DV・性暴力・虐待から子どもたちを守るために~」の講演会が27日、県宮古合同庁舎で行われた。会場には100人を超える来場者が訪れ、虐待が子どもたちに及ぼす影響について学んだほか、子どもたちに安全で安心感を与える環境を、常に大人が提供することの大切が呼び掛けられた。
講演は、NPO法人レジリエンス代表で米国法学博士の中島幸子さんを講師に招いて行われた。
中島さんは、虐待や暴力による子どもたちのトラウマの影響を紹介しながら「戦争も虐待も、それに伴う暴力は常に支配するために行われる。大切なことは『支配』ではなく、『尊重』であり、それがあれば子どもたちは家庭の中が安全であることを理解し、自由に意見が言える環境になる」と話した。
「暴力」と「しつけ」の違いについても「大前提として、『しつけ』は子どもたちにとって(暴力、暴言などのない)安全な環境が確保されていることが条件」と述べた。
その上で、子どもたちにとって必要な環境については、大人の機嫌によってルールが変わることがなく一貫性があり、矛盾のない安心、安全な社会的なルールが存在することなどを紹介した。
さらに、「安全な大人」として振る舞うために▽子どもの話に耳を傾ける▽共感してまず受け止める▽一緒に話し合い考える▽良い手本となる▽子どもが「自分の味方」と感じられる人間になる-を呼び掛けた。
「レジリエンス」は英語で「さまざまな形の力」の意味。どのような逆境に置かれても耐え抜く力、そこから脱する力などを意味している。