パーントゥ継承へ決意/ユネスコ無形文化遺産登録
島尻、野原が喜びの会見
宮古島のパーントゥを含む「来訪神 仮面・仮装の神々」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから一夜明けた30日、市と平良島尻自治会、上野野原部落会の役員らが市役所城辺庁舎で記者会見し改めて喜びを表すとともに、祭祀の継承へ気持ちを新たにした。島尻自治会と野原部落会には、ユネスコ遺産登録を内外にPRするのぼりやポスター、パンフレットが手渡された。
ユネスコ無形文化遺産への登録は、県内では2010年の「組踊」に次いで2例目。
宮國博教育長は会見で「地域で継承してきた祭祀文化が県内外はもちろん、国際的にも認められた」と喜んだ。
その上で、次世代への継承や見物客、観光客への対応など、さまざまな問題を抱えていることも挙げ「教育委員会としても各自治会と連携を図り、地元が誇れる文化遺産であることを歴史学習も含めて全力で保存の支援をしていきたい」と述べた。
保存支援の具体策については「行政側からああしなさい、こうしなさいということはない。主体は地域。地元からこれが必要という声があれば対応していく」と話した。
島尻自治会の宮良保会長は、パーントゥに扮する若者の減少や、体に塗る泥を採取する「ンマリガー」の地形が変化し泥が少なくなっていること、体に巻くキャーン(つる草)が減少していることを課題として示し「10年先は大丈夫と思うが、20年先は懸念される。継承には行政の支援が必要」と話した。
野原部落会の渡久山隆会長は「サティパロウは婦人会と子供会を中心にして行われる素朴で質素な祭祀」と紹介し、「ユネスコ無形文化遺産登録で、地元の人たちは大変喜んでいる」と話した。ただ、継承については「子供たちをいかに野原に来てもらうか」を課題とした。
宮國教育長は「子供や若者の定住を促進し、祭祀をそのままの形で残していくことは大変重要な要素」と指摘。「後継者問題はどこでも同じ。必ずしも地元にいる人だけで残していくというのは難しい」と述べ、継承向け地域の人たちと相談しながら進めていく考えを示した。