県民投票予算案を否決/市議会総務財政委
与党議員が反対主張/「知事選で民意示された」
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票をめぐり、市議会12月定例会は10日、総務財政委員会(山里雅彦委員長)で、投開票事務に必要な経費を盛り込んだ補正予算案を与党議員などの反対で否決した。与党は反対理由として、9月の知事選で辺野古移設反対を公約にした玉城デニー氏が当選したことで「民意は示されている」「予算は福祉行政などに使うべきだ」と主張した。委員会での否決はうるま市議会に続くもので、18日の本会議でも否決される見通し。
県民投票は玉城知事を支持する市民団体が中心となって、県条例に基づき来年2月24日に実施される。ただ、投開票事務は市町村が担うため、各市町村議会で予算が通ることが必要となっている。
委員会では平良和彦氏が、補正予算に盛り込まれていた県民投票における費用1382万3000円を削除する修正案を提出し「知事選で民意は示されている。(県全体における投票事務費)5億5000万円という巨額な予算は県民の福祉に使われるべきだ」と理由を説明した。
討論で國仲昌二氏は、修正案に反対の立場から「県民投票は市民が署名活動を通して、県議会に提出し正当な手続きを経て可決された。県民が意思表示する大事な機会が与えられる」と強調。「辺野古埋め立ての民意は県知事選で示されたと思いたいが、政府はそれを認めていない。辺野古埋め立てに反対か、進めるのかに争点を当てて民意を示すには県民投票しかない」と述べた。
これに対し賛成の立場から意見を述べた前里光健氏は「辺野古移設に向けた県民投票は、世界一危険といわれる宜野湾市の基地の危険性除去が原点」と主張。「普天間基地がある宜野湾市議会でも反対意見書が可決されている。宜野湾市長選で、辺野古へ移設するという民意が示されている結果を踏まえればこの(県民投票の投票事務に必要な)予算はそぐわない」と述べた。
同じく賛成意見として新里匠氏は「普天間基地の辺野古移設という二者択一の賛否を出すのは県知事選で実施した。この機会はむしろ多様な意見を聞く場にするべきだった」と辺野古移設の賛否を問うだけの県民投票に疑問を呈した。