珍しい碗型土器出土/保里遺跡
15~16世紀の建物跡
市教委が発掘現場説明会
市教育委員会(宮國博教育長)は23日、平良西仲宗根の県営西仲団地そばにある「保里遺跡」の発掘調査現場説明会を開いた。発掘現場からは15~16世紀にかけての複数の建物跡や廃棄土坑(ごみ捨て場の穴)などが出土。珍しい碗型土器も出土し、今後の研究成果に注目が集まった。地元や歴史ファンら約30人が参加し、当時の生活に思いを馳せていた。
今回の発掘調査は、平良の市場通り線(西仲宗根工区)の拡幅工事に伴う記録・保存のために実施している。今年10月~来年1月上旬まで発掘作業を行い、2月に埋め戻される見通し。来年度に報告書は刊行予定。
発掘現場からは中国産の白磁(13~14世紀)、褐釉陶器(14~15世紀)、青磁(15~16世紀)、青花(16世紀)、宮古島産の野城式土器(14世紀)なとが出土。中国産の陶磁器などが遺跡年代の指標となった。
廃棄穴からは昔の人の食料であったとされる魚の骨、サザエや二枚貝が出土。ウミガメの甲羅の一部分が確認された。
現場説明は市教育委員会文化財係主任主事の久貝弥嗣さんが担当した。
久貝さんは「保里遺跡は、14世紀から16世紀にかけての遺跡である。保里遺跡の主体は、14世紀前後に保里天太が築いた保里城跡であり、現在の保里御嶽一帯がその城跡の範囲と考えられている。現在発掘している保里遺跡は、15世紀から16世紀の主体年代である」と推論した。
発掘現場は交差点の一角に位置し、この一角には下地シゲさん(86)の家があって住んでいた。交差点拡張に伴う計画で立ち退きしたため、家は撤去された。この日の現場説明会には参加した。
下地さんは「住んでいた家の屋号は『ビシャーヤー』と呼ばれていたが、意味は分からない。嫁で来た家なので、先代についても伝えがない」と話した。
発掘作業は市シルバー人材センターが行っている。会員で参加する伊良部栄喜さん(70)は「今回の発掘調査で8件目の参加となる。沢山のサザエが出てきたので感動した」と満足そうに笑顔で語った。