写真、ビデオで後世に/祭祀写真展関連イベント
保存や継承向けシンポ
9日から市中央公民館で開催されている写真展「よみがえる宮古島の祭祀写真~比嘉康雄『神々の古層』、上井幸子『太古の系譜』」宮古展(主催・まぶいぐみ実行委員会)の関連イベントとして12日、同会場でシンポジウムが開かれた。宮古島の祭祀に関わりのある4氏がパネリストを務め、それぞれの立場から祭祀の保存や継承などについて意見を交わした。
パネリストとして参加したのは宮古島市史編さん委員の下地和宏氏、んきゃーん塾主宰の佐渡山政子氏、元教員で地元の島尻地区の祭祀調査を行っている兼島朋子氏、狩俣地区の祭祀を司るトップの神女である下地克子氏の4氏。写真家の比嘉豊光氏がコーディネーターを務めた。
下地和宏氏は、祭祀を中心となって行う神役のなり手がいなくなっていて、祭祀が行われなくなる地域がある一方で、何らかの形で守っていこうと取り組んでいる地域もあることを説明。市史編さん室としては、今行われている祭祀を写真やビデオで撮影し、後世に残していく考えを示した。
佐渡山氏は、30年から40年前に狩俣で1年間に行われていた約30の祭祀を解説。12月に5日間にわたって行われる、その年最後の祭祀の最終日の様子を見たことがあることを紹介し「月明かりの下で、ずっと歌い続けていた光景が今も耳に残っている」と語った。
兼島氏は、島尻地区では昔は年間20種類ほどの祭祀が行われていたが、現在残っているのは4種類程度で、残っていても形が変容してきていると話す。行われなくなった要因として「口伝えがほとんどだったので伝えることが難しかったのでは」との認識を述べた。
下地克子氏は狩俣地区の現状について「過疎化が進み、祭祀がどんどんなくなってきている」と危機感を表明。「再開できるどうかはまだ分からないが、あきらめると再開はできないので、自治会と相談しながら、希望を持ってできることから取り組んでいきたい」との考えを示した。
写真展は13日が最終日で、時間は午前10時から午後3時まで。