「ホーイホイ」と厄払い/野原でサティパロウ
ユネスコ遺産登録後初
ユネスコ無形文化遺産に登録された国指定の重要無形民俗文化財「上野野原のサティパロウ」が28日に行われた。パーントゥの仮面をかぶった男子児童を先頭に地元の女性たちが集落内を歩き、世界文化遺産の誇りをかみしめながら「ホーイホイ」と厄を払った。
サティパロウは旧暦12月の最後の丑(うし)の日に執り行われる。起源は定かではないが、野原集落に古くから伝わる行事だ。
昨年11月、インド洋のモーリシャスで開かれたユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産保護条約政府間委員会の審査で、国指定重要無形民俗文化財10件からなる伝統行事「来訪神 仮面・仮装の神々」として正式に遺産登録が決まった。野原のサティパロウは平良島尻のパーントゥとともに「宮古島のパーントゥ」と称されている。
登録を受けて初めて開かれるサティパロウには、地域住民のほか、世界が認めた伝統行事を一目見ようと多くの人が集まった。
午後5時30分ごろ、女性が指定の場所に集まって準備を始めた。慣れた手つきでクロツグとセンニンソウを腰と頭に巻いた。
男の子が到着すると仮面を持たせて出発した。この日のパーントゥは上野小2年の根間愛人君。女性はパーントゥの後に続き、手に持った小枝を上下にこすりながら「ホーイホイ」と声を合わせて厄を払った。交差点ではパーントゥを中心にして円をつくり、ぐるぐると回って場を清めた。公民館や新築の家も回った。
集落の外れに着くと、クロツグとセンニンソウを取り、一カ所にまとめて祈りをささげた。子どもも手を合わせて目を閉じ、伝統のサティパロウを終えた。
パーントゥを務めた根間君は「楽しかった。しっかり厄をはらった。来年もやりたい」と笑顔だった。
仲里千代子さん(65)は「今年も元気に厄をはらうことができた。こうしてみんなの力でつなげていくことが大切なことだから」と伝統行事を誇った。ユネスコ無形文化遺産登録で「おかげで見る人が増えた。本当に良かった」と話した。
野原自治会の渡久山隆会長は「登録されたことで見物人が増えている。これを機に野原部落の活性化が図れればうれしい」と話した。