いじめ、孤独なくそう/武藤杜夫さん講演会
「生きる」大切さ訴え/元法務教官が体験談紹介
子ども貧困対策事業として、元法務省沖縄少年院法務教官の武藤杜夫さんを招いた講演会が2日、市中央公民館で行われた。武藤さんは不良少年少女たちの関わりの中での学び、感じた体験談を紹介しながら、魂の交流で正面から向き合いながら、子どもたちに自らがかけがえのない存在であることを理解させることの大切さを訴えた。
現在は日本こどもみらい支援機構の代表を務める武藤さんは「なぜ、少年院で人生が変わるのか?」の演題で講話した。
問題を抱えた子どもたちとの関係の中で、その多くが自らの存在の大切さを見いだせないでいることを指摘。そうした感情との向き合った事例を紹介した。
命について、武藤さんは「命という宝物をもらって生まれた段階で、すべての人が生まれながらにして成功者だ」と述べた。
さらに「成功とは(求めたものを)手に入れるものではなく、はっと気が付くものだと思う。(命という宝物を得たことの意味に)気が付いて感謝することを悟った人が真の成功者だ」と訴えた。
「生きること」の大切さを訴える武藤さんは、独りぼっちにならないこと。独りぼっちにしないことを強調。「いじめは人間をひとりぼっちにする最大の暴力。国はそれをなくそうとして躍起になっているが、子ども社会のいじめはなかなか無くならない。それよりもまず、大人社会のいじめをなんとかすべきだ」と述べた。
詰め掛けた来場者に対して「皆さんの周りにいじめはないか?そして、それを見過ごしていないか?大人社会のいじめはテレビ、ネット、雑誌にあふれている。しかも、大の大人がそれを見て喜んでいる。あり得ない。世の中からひとりぼっちをなくそう」と呼び掛けた。
この事業は、子供の貧困が不登校や非行、健康状態の低下などさまざまな問題につながる恐れがあり、育った環境に左右されず、その連鎖を断ち切ることの大切さのほか、明るい未来に向けて歩むために夢と希望を届けることを目的に実施された。