イノシシ飼育の可能性/市総合博物館文化講座
菅原さん 友利元島遺跡から考察
市総合博物館で9日、文化講座が開かれた。講師に招かれた浦添市教育委員会文化財係主任で動物考古学に詳しい菅原広史さんが「イノシシのいた宮古島の遺跡」と題して講演した。菅原さんは5~8世紀の遺跡とされる城辺の友利元島遺跡から数多く出土したイノシシの資料から「イノシシを飼育していた可能性を示唆するもの」と説明した。
講座は2018年度地域の特色ある埋蔵文化財公開活用事業の一環。県内では動物考古学を研究する専門家は少なく、菅原さんの講演は注目されている。
菅原さんは「琉球列島には約3万7000年前から2万6000年前の間にイノシシが登場したと考えられる。この頃のイノシシは現在のイノシシより大きかったことが分かっており、宮古島でもピンザアブなどで旧石器時代にも相当する時期の遺跡から見つかっている」と説明。その上で「氷河期時代に中国から渡って来たと見られる」と推測し、今後の研究で検討していく認識を示した。
市上野地区にあるピンザアブ洞穴からは過去に約2万5800~2万6800年前(旧石器時代)の化石人骨が発見されている。
菅原さんは、特に友利元島遺跡に注目し「イノシシを中心とした動物利用は、宮古島の無土器期としては他に例がない。イノシシを主たる食料としている」と考察した。