「辺野古」ベターな選択/菅首相
仲井真知事「県民はノー」
【那覇支社】菅直人首相は17日午後、県庁知事応接室で仲井真弘多知事と会談し、米軍普天間飛行場の移設先について「普天間の状況を実現可能性を含めて考えたとき、ベストではないがベターだと考えた」と述べ、日米合意を踏まえ、同基地を名護市辺野古に移設する考えを示した。会談で仲井真知事は「日米合意の見直しをぜひお願いしたい。県内ではなく、県外をぜひ求めてもらいたい」と県外移設を強く要求した。
菅首相は「知事に私の考えをお伝えしたいと同時に県民にも総理としての考えを伝えたい」と述べた上で、大城立裕氏の「琉球処分」を読んだことなどを前置きし、薩摩支配や沖縄戦、米軍統治時代、日本復帰以降も残る米軍基地問題に対する沖縄への認識は持っているとし「日本人として、政治家として、ざんきに堪えない思いがある」と述べた。
日本全体で基地の応分負担をすべきという知事の意見は「まさに正論であると思う」と述べ、他府県にも協力を求める意向であることを示したが、「普天間県外移設」については「鳩山総理が努力したが、結果として実現できず、民主党の代表として沖縄の皆さんに申し訳なく思う」と述べた。
普天間辺野古移設の理由は、同基地の危険性を早期に除去するという点から「沖縄の皆さんにとっては、ベストの選択ではないが、実現可能性を含めたベターな選択だと考えた」とし移設に伴い海兵隊員の約4割がグアムに移転することや、嘉手納以南の米軍基地が返還されることなどのメリットを挙げた。菅首相は「強引に進めるつもりはなく、しっかりと話し合う中で理解を得たい」と述べた。
また、「沖縄の振興のためには新法が必要」と述べ、2012年3月で期限満了となる沖縄振興特別措置法に替わる新法成立に意欲をみせた。さらに、仲井真知事から要望のあった「一括交付金制度」や駐留軍用地跡利用に関する法整備についても前向きに取り組む姿勢を示した。
会談中、仲井真知事は表情を曇らせ、うつむき加減に菅首相の説明を聞いていたが、会談後の会見で、「ベスト、ベター、グッドなどという問題ではない。県民はノーと言っているのだ」として「県外移設」を求めることを強調した。