宮古、児童虐待179件/昨年12月末県児相分室
前年度の1.6倍に達す/「面前DV」の認知多く
宮古島市における児童虐待の認知件数が増加の一途をたどっている。2018年度は昨年月日時点で延べ174件(速報値)を確認しており、すでに前年度認知件数の1・6倍に達している。中でも両親が言い争ったり、暴力を振るったりする場面を子供に見せる「面前DV」を含む心理的虐待が134件と多い。県中央児童相談所宮古分室のまとめで分かった。
児童虐待は▽身体的▽心理的▽ネグレクト▽性的-に分類されており、昨年4月1日から月日までの9カ月間で身体、心理、ネグレクトという三つの種別で虐待を確認した。
種別の件数は▽身体的虐待件▽心理的虐待134件▽ネグレクト件-。現段階で性的虐待はない。
「しつけ」と言い張って子供に暴力を振るう身体的虐待は深刻だ。前年度よりすでに7件多く、親の理解促進と早期発見の体制強化が求められている。
ネグレクトは、子供を家に閉じ込めたり、食事を与えなかったりする行為を指す。ひどく不潔にしたままにすることや、重い病気になっても病院に連れて行かずに放置することもこれに当たるが、身体的虐待と同様に、前年度の件数を上回る勢いで推移している。
前年度件から大幅に増えたのが心理的虐待。現時点では134件だが、さらに増える見通しだ。
県中央児童相談所宮古分室の野原勝室長は「家庭内での夫婦げんかを含む面前DVが後を絶たない。言い争う場面を見せることが虐待に当たるという認識がまだ低い」と話し、子供を心理的に追い込んでしまっている現状に懸念を示した。
宮古島市の特徴としては酒絡みが多いと指摘し「酒が入ってけんかをするケースがある」と述べ、度を過ぎた飲酒が面前DVを引き起こす原因の一つとした。
認知件数が急増する要因の一つとして宮古分室の開設も挙げられる。2017年4月に開所して以降、県や市、警察など関係機関による連携強化に加え、児童虐待に対する地域の認知度が向上しているためだ。
特に市民から警察への通報が増えているといい、野原室長は「児童虐待に対する住民の意識が高くなっている」と話した。一方で「これだけ多いことが残念でならない」と憂い、「今後も児童虐待をなくす活動を続ける。隣近所の子供に異変があれば、すぐに連絡してほしい」と広く市民に情報提供を呼び掛けた。
児童虐待に関する相談や問い合わせは中央児童相談所宮古分室(0980・75・6505)まで。時間外は虐待ホットラインに転送される。