労働災害 建設業 前年比3倍/2018年発生件数
建築工事の急増背景に/労基署は非常事態宣言視野
建設現場における2018年の労働災害が、前年比の3倍に当たる18件に達している。宮古労働基準監督署(宮國浩署長)のまとめで分かった。空前の建設ラッシュに伴う作業量の増大が全体の災害件数を押し上げたものとみられる。労基署は非常事態の宣言を視野に入れており、啓発活動の強化を通じて労働災害防止の機運を高める方針だ。
労基署のまとめで、18年にあった全体労働災害件数は過去最高となった16年とほぼ同じ51件。小売りや飲食店、サービス業などが入る第3次産業での労働災害は減少しているが、建設業が増えて20件に迫った。
災害の内容は、転落や転倒、重機との接触など。現場にある障害物につまずいて転倒したり、脚立の上から転落したりしてけがをするケースが多い。
労基署では、災害が増えた要因を建築工事の増加と分析。具体的な数字は未集計だが、建築工事に係る労基署への届け出件数は前年と比べて少なくとも約1・5倍は増えている。
安全対策がおろそかになっているわけではない。ただ、現場が多過ぎて「物理的に管理監督の目が行き届かず、それぞれ現場を回すのが精いっぱいという印象を受ける」という。
一人で5~7カ所の現場を見る現場代理人もいるといい、「安全は軽視していないが、一人で幾つもの現場を掛け持ちして大変な状況にある」と話した。
労基署の宮國署長は「現在の状況が次年度も続く見込みがあれば、災害防止団体と協力しながら宮古地域に非常事態宣言等を発信して労働災害防止の機運の向上を図りたい」と話し、次年度の非常事態宣言の検討を本格化させる方針だ。
定期的に建設現場でパトロールを実施している建設業労働災害防止協会沖縄県支部宮古分会の長田幸夫分会長は「慢性的な人手不足が背景にあるが、まずは現場管理をしっかりしていかなければならない」と危機感を示し、「パトロールを強化しながら労働災害防止に努めていく」と話した。