森田、佐鳥さんを祝福/第2回宮古島文学賞
「島」の魅力を発信/授賞・祝賀会で決意新た
第2回宮古島文学賞(主催・市文化協会)の授賞式と祝賀会が3日、市内ホテルで開かれた。多くの関係者が出席し、最高賞の一席を受賞した宮古島市の森田たもつさんと佳作に入った東京都に住む佐鳥理さんを祝福。作品の完成度をたたえるとともに、島から発信される文化的才能の広がりと文学賞の充実、発展に向けて決意を新たにした。
授賞式では、はじめに市文化協会の大城裕子会長があいさつに立ち、一席の森田さんの作品について「島というテーマにふさわしい作品だった」と最高賞受賞作を高く評価した。「主催者として、この生まれたばかりの文学賞の可能性とも重ね合わせて、そこに光を見た」と感謝を込めた。
佐鳥さんの作品もたたえた上で「(宮古島に)滞在中は今後の創作に生かせるような材料を島から拾いあげてほしい」と歓迎し、新作の誕生を期待した。
宮古島市の下地敏彦市長は「(受賞した作品が)島の外に出ることで、多くの人に島のイメージからつむがれた作品の魅力を与えられれば幸い」と述べた。
この後、選考委員長を務めた椎名誠さんの講話があった。椎名さんは「応募作品の中にはきらきら光る作品がある。才能だ。私たちがそれを見つけ出し、受賞者に伝え、その人に意気があるなら後押しをしていきたいと思う」と語った。
宮古島文学賞の創設に関しては「独特な個性を持った文学賞であり、躍進してほしい」と期待した。
この後、椎名さんをはじめ選考委員のもりおみずきさん、大城貞俊さんが講評を行い、2人の作品の魅力を余すことなく伝えた。
賞状や副賞、記念品の授与を受けた森田さんは「この文学賞がなければ『みなさん先生』が日の目を見ることはなかった」と主催者に感謝し、「書き続けるのは大変なことだが、こうして評価をしてもらった。これからも宮古島を書き続けていきたい」と話した。
佐鳥さんも「宮古島に来て人と人の距離の近さに驚いた」と初来島の感想を話し、「来年はもっと自分自身で納得できるものを書きたい」と意欲的だった。
森田さんの「みなさん先生」は、25年ぶりに故郷の宮古島に戻るブラジル移民が主人公。架空の離島「那小島」でいとこの息子や孫に戦時中に教え子を台湾へ疎開させたこと、戦後の引き揚げ船の遭難で教え子を亡くしたことなどを語る物語を感動的に綴った。
佐鳥さんは「紺碧のサンクチュアリ」を書いた。1枚の海の絵に魅せられた主人公が、この絵を描いた本人と出会い、絵の舞台の海底洞窟へ潜りに行くストーリー。爽やかな小説に仕上げて高い評価を得た。