「3・11」忘れない/東日本震災から8年
合唱とフラで追悼/伊良部で祈りのハーモニー
発生から8年を迎えた東日本大震災の犠牲者を追悼するとともに、被災地へストリートピアノを贈るためのチャリティーセレモニー「第8回ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」が11日、伊良部のホテルてぃだの郷で開かれた。約30人が参加し、合唱とフラダンスで犠牲者の冥福を祈るとともに、防災意識向上の必要性について思いを新たにした。
同セレモニーは毎年全国の複数箇所で開催されていて、今年は20カ所で実施された。てぃだの郷で行われるのは今回で5回目で、今年は宮古フロイデ合唱団を中心とした市民と、カイルアフラスタジオ宮古支部から6人が参加した。
参加者は東日本大震災が発生した午後2時46分、被災地の方角に向かって1分間の黙とうをささげた。その後、ピアノ演奏に合わせ「ふるさと」と、復興支援ソングとされている「花は咲く」を被災地への思いを込めて歌った。フラのメンバーは「花は咲く」の歌に合わせた踊りで復興への願いを込めた。
セレモニーの冒頭では主催者を代表して、てぃだの郷の猪子立子代表があいさつに立ち、ホテルから一望できる佐和田の浜に点在する岩を運んできたとされる明和の大津波は1771年の3月10日(旧暦)に発生したことを紹介。「わずか1日違いでこんなに大きな災害があったことを忘れてはいけない。今回は東北の人だけでなく明和の大津波の犠牲者の冥福も祈ってほしい」と呼び掛けた。
福島県富岡町で暮らしていたが震災以降、伊良部島に移住した林貴代子さんは「いつになれば家に自由に帰ることができるか分からない。私たちの町の半分は生き返っているが、戻ってきている人は500人もいない。小さな子供はほとんどいない。お年寄りだけ」と福島の現状を語った。
福島県や津波の被災地にボランティアへ行った経験のある堀尾憲市さんは、被災地の復興が進んでいるような報道があるが、実際には多くの人が今も仮設住宅で暮らしている現状を指摘。「苦しんでいる人の声が外へ出ていない。そのことを思いながら被災地を見てほしい」と訴えた。
合唱後には参加者に対し、ストリートピアノを被災地へ贈るための募金への協力が呼び掛けられた。