バイオエタ施設、無償譲渡へ/総務財政委
宮古島市 資産価値2億4700万円
宮古島市議会は14日、常任委員会を開き、3月定例会に上程された議案を審査した。総務財政委員会(山里雅彦委員長)では、市企画政策部がバイオエタノール製造施設を無償で譲渡する議案を説明したが、施設の資産価値や指定管理者と結んだ基本協定の条文をめぐって一部の委員が市の対応を疑問視した。市によると、施設の建物の資産価値は約2億4700万円。
バイオエタノール製造施設は2012年8月、国から無償譲渡を受けた。以降はガソリンに3%のバイオエタノールを混合するE3燃料事業や農業用液肥の製造・販売、学校給食調理場のボイラー燃料として活用する事業などを展開してきたが、さまざまな外的要因が重なるなどして軌道に乗れず、議会で採算性を疑問視する声が出ていた。
今定例会に提案している譲渡先は、指定管理者の日本アルコール産業。譲渡理由として企画政策部の友利克部長は施設の維持管理費等を挙げ、「将来の市の負担を考えると(譲渡の)メリットはある」とした。
ただ、市が昨年実施した鑑定評価によって建物に2億4700万円の資産価値が付いたことを踏まえ、ある委員は「売却は検討しなかったのか」と質問。友利部長は「(国から)無償で譲り受けているので、それで収入を得るというのは望ましくないということから考えなかった」と答えた。
質疑では、指定管理者と結んだ基本協定書に施設を無償で譲渡する旨の文言が存在することなども判明した。後に市が弁護士に確認したところ、施設を指定管理者に押し付けるような条文の正当性について疑問を呈されたことから公募の準備を進めたきたという。
だが、昨年12月に指定管理者から基本協定に沿って無償譲渡を受けるという申し入れがあって話は振り出しに。無償譲渡と公募の実施は「二重譲渡が疑われる可能性がある」という弁護士の助言も踏まえ、基本協定通り指定管理者に無償譲渡する方針を固めた。
ただ、一部委員は、基本協定に無償譲渡が盛り込まれていることや、施設の活用を計画している別の事業者の存在などを挙げて市の対応を疑問視。無償譲渡した施設の取り扱いが譲渡先に委ねられる点についても理解は深まらなかった。
同議案に対する討論、表決は15日に行われる。