製糖期、5月入りも/サトウキビ
雨天で原料不足深刻
初の調整会議/まくら刈り推奨へ
雨天の影響で、2018-19年期のサトウキビ製糖操業が5月にずれ込む可能性が出てきた。雨で機械刈りがストップし、製糖工場に搬入される原料(サトウキビ)が不足していることが要因だ。事態を重く見た宮古島市は14日、初の調整会議を招集。原料の確保に向けて、機械刈りをスムーズにするまくら刈りの推奨や、雨天後速やかに機械刈りを実行に移す全体としての方向性を確認した。
今の収穫はハーベスターによる機械刈りが主で、収穫面積の9割に及ぶ。農家の高齢化に伴う労働力の減退を補うとあって推奨されてきた。ただ、ハーベスターは雨天時に稼働できないことから、原料の確保が製糖期の天候に左右されてしまうという課題がある。
市の調べで、今季は平年値を上回る降水が各地で観測されている。この影響を受けてハーベスターの稼働日数が減り、各工場への原料搬入量も落ち込んでいるのが現状だ。先週末から12~13日にかけて圧搾を停止せざるを得なかった。
製糖期が後ろにずれていくと、サトウキビの品質の低下や春植え、株出しの生育期間が確保できず、来期の収穫分に大きな影響が出る。こういった現状を踏まえて、市が初めて刈り取り調整会議を招集した。
調整会議では、JAのさとうきび対策室が各工場の進ちょく率を報告した。現段階で、沖縄製糖宮古工場、宮古製糖伊良部工場、宮古製糖城辺工場の3工場とも50%台にとどまるとした。
この結果から、工場の処理能力及び今後の天候次第では、製糖操業を4月中には終えられず、5月にずれ込む工場が出てくることも予測として触れた。
報告を受けて意見交換を行った。製糖工場側は、雨の後は速やかにハーベスターを稼働させるよう要望したが、ハーベスター運営協議会のメンバーは「ほ場がぬかるんだ状態で無理してやればトラッシュ率が上がるため農家が嫌う。機械も消耗する」と返した。
別のオペレーターも「農家に『ほ場に入るな』と言われたらどうすることもできない。会社(工場)としても農家に納得してもらえるよう説明する必要があるのではないか」と促した。
この日の会議で抜本的な解決策は見いだせなかったものの、関係機関が現状に対する危機感を共有した。
具体的な取り組みとしては、ハーベスターがすぐに刈り取れるように、農家に対してほ場の間口を開けるまくら刈りを推奨していくことや、雨の後できるだけ速やかにハーベスターを稼働させて原料を確保していく方向性を確認した。
下地敏彦市長は「雨天後の刈り取りがスムーズにいくよう関係機関の協力をお願いしたい」と述べ、連携強化を呼び掛けた。