牧山FPから給水開始/伊良部 地下ダムの水利用
国営地下ダム事業で整備された伊良部牧山ファームポンド(FP)からの給水が1日、始まった。宮古本島の地下ダムにためた水を伊良部島で活用する農業が実現した。給水は、同FP敷地内にある三型給水施設を使って行われる。
給水する農業用水は、宮古本島の仲原ダムから送水されたもの。上野野原の宮古吐水槽を経由した後、伊良部大橋を通って牧山FPに流される。FPの有効貯水量は1万6000トン。
宮古本島のように、スプリンクラー等を使用して水をまけるのはあと数年の期間を要す。それまでは三型施設を使って給水。市役所伊良部庁舎で販売している専用コイン1枚で使える水の量は500リットル。
1日の給水は午前10時に始まった。伊良部長浜の玉元博光さん(41)が一番乗りし、コインを投入して農業用水をタンクに入れた。
玉元さんは、サトウキビやカボチャを生産する農家で、この日を待ち望んでいた。「うれしい。新しい施設ができて使い勝手がどんどん向上していることが何より」と喜び、「今後はスプリンクラーで水をまける日を待ちたい。本当に楽しみです」と農業基盤の一層の充実に期待を寄せた。
給水開始に当たり、国や県、宮古島市の関係者が現場を視察した。事業を進める宮古伊良部農業水利事業所の平良和史所長は「事務手続きが終わり、供給の運びとなった。マイルストーンに達して今はほっとしている」と安ど。「スプリンクラーの設置など数年後の本格的なかん水の実施に向けて、引き続き県、宮古島市と連携しながら進めていきたい」と話した。