「国際診療室」を設置/宮古病院
外国人旅行者の緊急搬送対応/安全な医療の環境整備へ
外国人旅行者の緊急搬送などに対応するため、県立宮古病院(本永英治院長)は今月1日から「国際診療室」を設置した。県立病院としては初の取り組み。本永院長らが11日、会見を開き、「医療資源が限られた宮古医療圏において、住民と観光客の双方が安全に医療を受けられる環境整備の一環として設置した」と理由を説明した。
同病院によると、外国人旅行者の緊急搬送は月に1~2件発生。集中治療を必要とする患者も増加しており、中には約120万円の未収金を残したまま帰国した患者もいたという。
このような事態を受け、同病院はワーキンググループを結成し、昨年12月から協議を重ねてきた。構成メンバーは岸本信三副院長を室長とした医師や看護師、事務職員の約10人となっている。
設置に向けての課題は言語、医療費、感染症の三つがあった。言語はタブレットの医療用翻訳アプリを使用して、誤訳がないよう注意を払う。対応言語は英語と中国語となっている。
医療費は医療保険の加入を推奨するほか、キャッシュレス決済に対応する機器の導入を進めている。感染症については、新型インフルエンザなどを想定し、家族も含めた隔離室を病院内に設置する。
感染症専門内科の向川原充医師は「宮古は医療資源が限られており、緊急対応だけに特化した。外国人旅行客が、安全に帰れるよう対応するのが国際診療室の役目だ」と語った。
同病院は外国人旅行客に対応する医療体制の構築には、「行政のリーダーシップが必要」と強調。旅行者用の医療保険の加入推奨や、観光スポットの多言語ガイドの配置などの対策を進めるよう、宮古島市などに求めていく考えだ。
会見後には、外国人旅行客の救急入院における診療に寄与したとして、沖縄シップスエージェンシー(松田新一郎社長)に感謝状が贈呈された。社員の宮本陽子さんが受け取った。