盲導犬同伴を拒否/市内の民宿や飲食店
「盲導犬の受け入れをこんなに断られたことはない。宮古島では盲導犬への理解は進んでいるのか」。宮古島市にこのほど、このような訴えが寄せられた。視覚障害者が健常者と共に宮古島旅行を計画。盲導犬の同伴を申し入れたところ、多くの民宿や飲食店から予約を断られたという。宮古島観光協会の手配で、受け入れ可能な民宿と飲食店の予約はできたものの、盲導犬を受け入れる社会基盤が十分でないことが明らかになった。市と観光協会では、障害を持つ人の受け入れに理解と協力を呼び掛けている。
今回、市へ相談した視覚障害者は民宿での宿泊と居酒屋での食事を希望し、予約をしようとしたが、盲導犬の同伴を理由に断られた。ある居酒屋では「ほかの予約客に犬アレルギーの人がいるから」と言われたという。
相談を受けた観光協会が、盲導犬同伴でも宿泊できる民宿と入店できる飲食店を調べ相談者に紹介し、宮古島への旅行を実現させた。
障害者差別解消法では、障害を理由とした不当な差別的取り扱いは禁止されているほか、国の行政機関や地方公共団体などには障害者への合理的な配慮を行う義務があり、民間事業者は障害者に対し合理的配慮を行う努力義務がある。
また身体障害者補助犬法では、「補助犬」と呼ばれる障害者をサポートする盲導犬、聴導犬、介助犬について、国や地方公共団体などが管理する公共機関、公共交通機関、不特定多数の人が利用する商業施設や飲食店、ホテルなどは受け入れを義務化している。
厚生労働省では店舗などが補助犬を受け入れていることを表示するための「補助犬ステッカー」を作成、配布し、法律で補助犬が同伴できることの周知に取り組んでいる。
観光協会では「リゾートホテルやシティーホテルでは受け入れているが、民宿などでは受け入れているところはまだ少ない。飲食店もほかの客にアレルギー反応が出た場合に責任を追及されることを怖がっている。ただ法律で決められていることを知れば説明ができる。気付かない差別になっているので無知で終わらせてはいけない」と注意を促す。
市障がい福祉課は「宮古島では盲導犬のことがまだ十分に知られていないと思う。住みやすい、過ごしやすい宮古島にするために市民の皆さんには理解と協力をお願いしたい」と呼び掛けている。同課では希望者に「補助犬ステッカー」を配布している。
問い合わせは同課(電話73・1975)まで。