「共に生きる社会に」/ハンセン病市民学会
課題解決へ連携誓う/宮古で総会、交流集会
第15回ハンセン病市民学会総会・交流集会in宮古(主催・同学会)が19、20の両日、マティダ市民劇場や宮古南静園で開催された。初日は同劇場で宮古島集会のテーマである「あらためて問う 回復者・家族の苦難の歴史と今~共に生きる社会をめざして~」に沿って、現状や今後の課題について共有するとともに、今後も差別のない平和で平等な豊かな世界に向け、連携を密に歩み続けることを確認した。
初日の総会と交流集会では、知念正勝開催地実行委員長が主催者あいさつを行い、宮古南静園の入園者自治会が高齢化によりその取り組みも厳しい状態で進められていることなどを紹介。
その上で「入園者数も60人を割り、平均年齢も約87歳となった。高齢化の課題は深刻。しかし、ハンセン病問題はまだ終わっていない。この集会を実りあるものにしよう」と呼び掛けた。
歓迎のあいさつでは下地敏彦市長(代読)が「この学会が宮古島市民だけでなく、全国にハンセン病に対する正しい知識を広める契機になることを期待している」と述べた。
第1部は「回復者の人権と入所者自治を守るために」。第2部は「ハンセン病回復者が安心して暮らし続けるために~医療・生活支援の体制づくりを考える」を演題に、関係者がそれぞれの立場から現状における課題や今後、取り組むべき内容についての意見を交換した。
第1部では、ビデオメッセージで南静園の入所者自治会連絡員の豊見山一雄さんが深刻な高齢化により、自治会運営が厳しい状況になっているなど、課題を紹介した。
第2部では、当事者自らが持ってしまう偏見(セルフ・スティグマ)について、長崎県立大学看護栄養学部の河口朝子教授が紹介。
差別されていると思い過ぎて、周囲は気にしていないのに自分の中に差別感があり、生活行動を抑制していることが説明され、その軽減の必要性を訴えた。
そのほかにも、パネリストたちがそれぞれの立場から今後のハンセン病問題の課題について見解を示し、さらなる連携の強化と情報共有の必要性を確認した。
行動提起では▽入所者の権利運動、当事者運動の擁護▽都道府県に対する働きかけ▽退所者、非入所者、さらにその家族が安心して暮らせる社会環境整備-の必要性について提起した。
同学会としては、今後も課題解決に向けた行動を展開し、各地の先駆的な取り組みを全国に広げていく活動を誓い合った。
この集会は、ハンセン病問題の歴史と今を見詰め直すこと。入所者の療養所での生活を守り、退所者や家族が地域で安心して暮らし続けるためには何が必要なのかを考えることを目的に開催している。