みゃーくふつに魅了/中国留学生の王丹凝さん
新城方言を研究/地元住民から聞き取り調査
「こんなに面白い言語、絶対に世に残したい」-。そう話すのは中国からの留学生・王丹凝さん(25)。現在、九州大学大学院の人文科学府言語学研究室に所属し、城辺の新城方言の調査研究を進めている。今月3日からは初の長期調査として来島し、15日まで聞き取り調査を実施する。「毎日、新しい発見がありワクワクしている。これをしっかり記録したら世界の言語の多様性に対する貢献にもなると思う」と話し、さらなる研究に意欲を示した。
王さんは、福建省の出身で西安外国語大学卒業後の2016年に来日し、九州大学の大学院に進学。修士として2年間を新城方言の研究に取り組んできた。
今年3月に修士過程修了後も、さらに研究を進めるために博士課程に進み、新城方言の研究を継続している。
研究対象に新城方言を選んだ理由について「城辺方面はあまり研究対象になっておらず、新城方言は誰も研究していなかったので、面白い発見ができそうだと思い選んだ」と笑顔で話した。
言語としての新城方言については「最初はとても難しく、特に独特の発音が聞き取れなかった。それでも、調査を受けてくれた話者との会話の中でだんだん慣れてきて、今では長い方言の文章も理解できるようになった」と述べた。
王さんの研究には、平良に住む新城出身の夫婦が協力しており、その研究熱心さと方言に対する理解力に驚いている。
一つの例として、宮古島出身の下地イサムさんが歌う「おばぁ」を王さんが聞きた時の話を紹介した。
「おばぁ」は、長年連れ添った夫に先立たれたおばぁの悲しみを方言で切々と歌い上げた曲で、王さんはその曲を聴きながら涙をこぼし、その姿を見た夫婦も涙したという。
そんな「みゃーくふつ」の魅力に魅了された王さんは現在、自らの博士論文のために新城方言の▽簡易辞書▽文法書▽談話資料-の作成に向け調査を進めており、3年後の完成を目指している。
絶滅が危惧(きぐ)されている宮古方言については「例えば、私は言語学からのアプローチで下地イサムさんは歌、そのほかにもドキュメンタリー映像や民話などで島の方言に焦点を当てている。それはすべて大切な島の財産を残すための方法だと思う」と話した。
さらに「方言の言語復興に向け、いろいろな活動やイベントがあるが、実際にそれが実現できる分からない。それでもこんなにも面白い言語を地域で残す努力をしてほしいと思う」と呼び掛けた。