多良間村「環境にやさしい農業」/エコファーマー再認定
取り組みで反収も向上
【那覇支社】多良間村のサトウキビ農家全体で化学肥料や化学合成農薬の使用を削減し、土壌づくりを推進する取り組みを「環境にやさしい農業」として認める「エコファーマー」の再認定式が14日、県庁で行われた。多良間地区さとうきび生産組合の高江洲昭男組合長は「人にも環境にもやさしい、安全・安心な多良間島産黒糖のブランド確立のため、生産農家や関係機関と取り組みを図っていく」と決意を新たにした。
県の長嶺豊農林水産部長は、認定証の交付に当たり「多良間村で、サトウキビ農家全体が環境保全型農業に取り組んでいるのは他に例がなく、大変意義深い。島単位で環境保全型農業に取り組むことで、化学肥料の投入量減少による水質の改善や黒糖の有利販売につながっている。今後とも環境保全型農業を推進し、エコ黒糖ブランド産地として、さらなる発展を期待している」と語った。
同村では、県が公表した「2007年度水質・ダイオキシン類測定結果」で、硝酸態窒素と亜硝酸態窒素が国の基準を超えている地域があったことをきっかけに、水質改善のため化学肥料や化学合成農薬の使用を3割減らす取り組みを開始。14年6月に農家252戸がエコファーマーとして認定されていた。今回、5年間の認定期間が経過するため再認定となった。
高江洲組合長は「最初のころ、農家からは化学肥料と農薬を減らしたら反収が下がっていくのではないかとの声も聞こえてきたが、最近の反収は8トンと日本一になっている。品質も良くなっている。これからも土づくりを頑張っていきたい」と述べた。
伊良皆光夫村長も「県やJA、製糖工場など関係機関の指導の下、農家が認識を深めて実践できたことが、大きな成果につながった。多良間産黒糖の安全・安心をPRでき、知名度アップにもなる。島のPRや観光にも寄与でき、村の発展にもつながる」と、力を込めた。
再認定式には、JAおきなわ多良間支店の下地秀虎支店長や、宮古製糖那覇事業所の山城一成次長、同製糖多良間工場の嘉味田新一管理課長らも出席した。