50人が結核集団感染/宮古厚生園 20人が発病
【那覇支社】県地域保健課は18日、宮古保健所管内の社会福祉施設で職員や利用者に50人の結核集団感染が発生し、20人が発病したと発表した。
本紙の取材によると、同施設は宮古島市平良の宮古厚生園。県は「感染源となりうる発病者については専門の医療機関で入院対応を行った。通院治療となっている方については、日常生活に制限はない」としている。
同課担当者は「結核は毎年200人以上が発病している身近な病気。2週間以上せきが続く場合や、微熱や体がだるいなどの症状がある場合には結核が疑われるので、早期に病院で受診してほしい」と呼び掛けている。
県は、5月31日までに、同園職員103人と利用者58人、家族を含む接触者ら11人の計172人を健診。その結果、感染者30人と発病者20人を確認した。発病者は30~50代の施設職員9人、60代以上の利用者11人だった。また、菌の培養検査で20人のうち6人が同一の菌株だった。
昨年6月ごろに同園で最初の結核罹患(りかん)者が出たとみられるが、自覚症状がなかったことや結核の特徴的な症状のせきやたんなどが高齢者の場合は出にくいことなどもあり、検査の実施が遅れて施設内で感染が広がったという。
同園の担当者は「感染者や発病者は投薬治療をし、予防のための服薬にも取り組んでいる。また、結核が疑われる症状がある場合は、すぐに病院で診察するなど、再発防止に努めている」などと話した。
結核は、結核菌が原因の感染症。症状は風邪に似ており、せきやたんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続く。患者のせきやくしゃみで空気中に飛び出した菌を吸い込むことにより感染する。
県の担当者は「発病者の4割は80歳以上で、高齢になると自覚症状もないので、健康診断(レントゲン検査)を定期的に受けて早期発見をすることが重要。感染してもほとんどの場合、薬を服用すれば治癒する」と話している。