当期剰余金500万円計上/伊良部漁協総会
黒字決算も本業厳しく/事業外収益で補てんの構造
伊良部漁業協同組合(漢那一浩組合長)は29日、管理する市海業支援施設で第50回総会を開き、当期剰余金499万円の黒字決算を含む2018年度事業報告書を可決した。ただ、本業の販売、製氷冷凍事業等の事業利益は1221万円のマイナス収支に。カツオ漁の不振や出漁日数の減少が響いた。こういった本業の落ち込みを外国船操業等調査監視活動や民泊等の事業外活動で補てんする収益構造が浮き彫りとなった。
18年度事業概況には、カツオ一本釣り漁業の不振に加えて、「外国漁船操業等監視事業の影響による漁業者の操業意欲の低下が顕著になった」と明記。これに伴い本業である販売、製氷冷凍事業などの取扱数量が減少したとしている。
この結果、販売事業が前年度比6%減の1億8603万円、製氷冷凍事業は同比7%減の3153万円とそれぞれ落ち込んだ。
販売事業は漁獲量の減少がそのまま響いた。製氷冷凍事業は台風接近による気象条件もあるが、出漁機会の減少やパヤオ漁での不漁続きなどで低調だった。
一方で、事業外活動に位置付ける外国船監視事業や観光事業、特に民泊の収入は大きかった。新しい荷さばき施設や加工施設の利用開始及び漁協直営食堂の開店も収益を下支えした。
漁協直営食堂の初年度売り上げは2314万円、経費2126万円を引いた利益は187万円だった。
最終的な事業利益はマイナス1221万円、事業外は1876万円の黒字を計上し、事業外収益から事業利益を差し引いてはじく経常利益はプラス654万円だった。ここから特別損失を引いた当期剰余金は499万円の黒字決算に。累積赤字はやや圧縮され、9億1225万円となった。
総会では、これらの事業報告及び損益計算書等を認めた後、当期利益を1246万円とする新年度事業計画案を了承、可決した。
総会の冒頭、漢那組合長は「漁協の中心は漁船、漁業になる。出漁回数と水揚げを増やし、事業利益を伸ばさなければならない」と強調した。一方で事業外収益の重要性にも触れ、「食堂は組合の一つの事業としてしっかり育てる。経常利益をさらに上げられるよう頑張ろう」と述べた。
役員は次の通り。
【理事】漢那一浩▽仲村淳▽伊佐英一▽国吉正雄▽久高明人▽池間光雄▽下里猛▽川満友博▽伊良波宏紀
【監事】猪澤也寸志▽浜川明芳▽伊良波政信