煙突横にボイラー室跡/旧西中共同製糖場
市教委「県内では初確認」
市教育委員会は10日、仮補修工事が現在進められている旧西中共同製糖場煙突横に、同様の施設としては県内で初めてボイラー室の遺構が見つかったことを発表した。同煙突の仮補修工事現場で行われた説明会で生涯学習振興課の砂辺和正課長補佐は「こうした製糖場のレンガの煙突は県内にうるま市、八重瀬町と宮古に3カ所あるが、ボイラー室の遺構が出てきたのは県内では初めて」と述べた。
旧西中共同製糖場のレンガ煙突は、1942年に設立された。宮古島の伝統産業である製糖業を象徴する煙突で、県内でも希少な昭和前期の製糖工場の遺構。
サトウキビ畑の中に建つレンガ煙突で基部の平面は2・7㍍、高さは13・47㍍のレンガ造、イギリス積みで、2013年に国の有形文化財として登録されている。
今回、確認されたボイラー室の上には当初、がれきの山があり、さらに雑草も繁茂し、その存在を隠していたという。
今回の仮補修工事で煙突の周囲を整地したところ、ボイラー室の遺構が確認されたことから、慎重に作業を進め先月末には遺構全体が姿を現したほか、ボイラー室と煙突をつなぐ煙道の跡も確認された。
現在、国の登録有形文化財となっているのは煙突部分だけであることから、市教育委員会では今回見つかったボイラー室の遺構とそれに隣接する貯水池を含めて文化財登録を目指すとしている。
今後について、砂辺課長補佐は「ボイラー室遺構のある土地には地主がいることから、その同意を得た上で国への登録を含めて今後検討していくことになる」と述べた。
さらに、今回のボイラー室の確認は新しい事実ということもあり、案内板にその内容を明記することも検討している。
そのほか、煙突の仮補修工事について砂辺課長補佐は「これまで何度も危険性が指摘されていたので仮補修工事を行っている。今回の工事である程度の安全性は確保されたと思う」と述べた。