トガリシラナミ 種苗生産に成功
海業セ、養殖業に期待/栽培漁業推進協で報告
2019年度宮古地区栽培漁業推進協議会(会長・下地敏彦市長)が29日、市役所平良庁舎で開かれた。会員らが参加し、18年度事業報告総括および歳入歳出決算など2議案を原案通り承認した。旧宮古栽培漁業センター(現市海業センター)の1985(昭和60)年8月開所以来、30年余でトガリシラナミ(シャコガイ類)の種苗生産に初めて成功したことを報告した。今後、漁業者による養殖事業が加速しそうだ。
トガリシラナミは貝の前後がとがっていることが名前の由来とされる。荒波のあるリーフ外に生息し、殻長は最大20㌢以上に成長。食用として刺し身やバター焼きで好まれる。近年は観賞用として人気が高い。
この日の会合の冒頭、下地市長は「新年度はどう取り組んでいくか。それぞれの実績を踏まえながら新しい取り組みの論議をしていただきたい」と期待を込めた。
18年度事業報告総括によると、同センターではハマフエフキ(タマン)、タイワンガザミ、シラヒゲウニ、ヒメジャコ、ヒレジャコ、トガリシラナミ、モズク、魚のサバヒーを種苗生産している。
このうち、ハマフエフキは、沖縄本島にある県栽培漁業センターより種苗1万7077匹を購入したが、宮古までの輸送中に酸素給気に事故があり、中間育成場に収容できたのは約9000匹だった。実績は放流3993匹、有償譲渡3137匹の計7130匹。
放流内訳では、パヤオの日まつりで1850匹、池間小学校体験学習で317匹、伊良部の佐和田の浜で1826匹をそれぞれ放流した。
トガリシラナミは生産2万8168個のうち、有償譲渡は7468個。当初種苗生産の計画はなかったが、5月23日に水槽内で自然放精抱卵したため種苗生産を試みた。その結果、初の種苗生産に成功した。
18年度歳入歳出決算では12万4000円を次期繰り越しとした。19年度歳入歳出予算は歳入歳出ともに365万4000円とした。
この協議会は、宮古地区における栽培漁業構想および栽培計画の策定を行い、栽培漁業の円滑なる推進および漁場の管理方式の確立を図り、宮古地区の漁業生産の安定及び増産を図ることを目的にしている。問い合わせは、同センター(電話72・5006)へ。