キビ振興 土づくりに重点/増産計画検討会
トラッシュ活用に補助/新植夏植え支援も検討
宮古島市が次年度、サトウキビ栽培に関する補助事業の見直しを実施する。機械刈りの急増で、サトウキビの根株や梢頭部、ほ場の表土といったトラッシュの持ち出しに起因する地力の低下を懸念。本来ほ場に残るべきトラッシュを還元するための費用を助成し、地力を上げて増産につなげる方針だ。夏植えの拡大に向けた支援も検討する。1日に開かれたサトウキビ増産計画フォローアップ現地検討会の中で示された。
現地検討会は市役所上野庁舎であった。計画に盛り込んだ目標の達成に向けて毎年開かれており、この日は市、JAおきなわ、製糖工場、共済組合などの代表らが集まり、県の担当課を交えて意見を交わした。
増産プロジェクト会議の会長を務める市農林水産部の福里匡次長は「前期サトウキビの生産量が30万トンを割り込んだ」と指摘し、基幹作物の減産に危機感を示した。その上で「株出し栽培の普及によって収穫面積が拡大し、生産量が増えることを期待したが、現状は思うような効果が得られていない」と話し、減産の要因として気象条件および株出しを中心とする反収(10アール当たりの収量)の低さや作型の偏りなどを挙げた。
この現状を踏まえ、機械刈りで製糖工場に運ばれたトラッシュをほ場に戻す方向で検討を進めていることを明らかにした。具体的には運搬費の一部を助成するものとみられる。栄養分を含むトラッシュやバガスをフル活用し、ほ場の地力を上げて増産につなげる。
作型については夏植えの収穫面積が全体の30%(18-19年産)を割り込んでいる実態を示し、高反収が期待できる夏植え面積拡大の必要性に触れた。取り組みの方向性としては、株出しに関する補助メニューを見直し、「新植夏植え栽培を行う農家に対する支援」を計画の中に明文化する。市は夏植えの比率を最低50%まで引き上げたい考え。
ただ、夏植えは相当な労力を要することから、植え付け作業を含めたサトウキビ栽培の機械化一貫体系の早期確立も目指す。
検討会ではこういった市の方針を共有し、増産に向けた計画の見直しおよび実践の重要性を再確認した。