黒糖の在庫対策で予算要求へ/内閣府
安定供給に向け実証事業
【那覇支社】宮腰光寛沖縄担当相は、2日の閣議後会見で「黒糖の在庫問題の背景には、製糖業者における販売・保管調整等の体制が脆弱(ぜいじゃく)なため、サトウキビの増産に十分に対処できていないことがあると考えている。適正な保管管理の仕組みの構築や販売部門の強化等が必要と考えている」などと述べ、県産黒糖の安定供給に向けた実証事業を行うため、来年度予算に概算要求する方針を示した。
県産黒糖については、県内の黒糖製糖工場が合計で3247トンの在庫を抱えているとされる。サトウキビの豊作で県内での黒糖生産量が約9000トンで推移しているのに対し、国内での消費量が7000~7500トンにとどまっていることが理由という。サトウキビが不作で黒糖生産量が減少した時期に、県産に比べ安価な輸入黒糖に切り替えられた事例もあるとされている。
会見で、宮腰沖縄相は「黒糖については、県が一括交付金(ソフト交付金)を活用して製造コストと販売価格の差額を助成している。現在、製糖業者が交付金を受ける時期が製糖後の7月となっており、製糖業者が生産者に支払いを行うための資金調達が経営上の負担となっている。交付金の支払い時期を改善するよう、私から県に対して要請した」と述べた。
また、「サトウキビは沖縄県のシンボル。黒糖とサトウキビ生産は、基幹産業として地域の経済活動に大変重要な役割を担っている。分蜜糖に関しても、増産プロジェクトを立ち上げて支援しているが、黒糖地帯でも増産に向けて頑張っていただく必要がある」と強調した。
その上で、「そのために、安定供給の構築、販路拡大の取り組みの強化をやっていく必要がある。実証として来年度やってみるが、定着させていきたい。二度と、同じような安定供給の不備が原因で価格が大幅に下落したり、販路を失ったりということがないように、しっかり取り組んでいきたいと考えている」と語った。