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産業・経済
2011年1月1日(土)9:03

海族まつり協力態勢新取り組みで活路/新春 水産業座談会

テーマ「新たな展望・観光漁業」

 

小禄 貴英 (62)宮古島漁業協同組合長
浜川 洋美(68)池間漁業協同組合長
友利 義文 (61)伊良部漁業協同組合長
進行役 伊良波 彌(宮古毎日新聞社編集部副主幹)


今後の水産業の発展に向け一致協力を固める(左から)友利氏、浜川氏、小禄氏=宮古島漁業協同組合

今後の水産業の発展に向け一致協力を固める(左から)友利氏、浜川氏、小禄氏=宮古島漁業協同組合

 宮古の水産業は、近年水揚げ高の減少や魚価低迷、島外の販路拡大不振、後継者不足などで厳しい状況下にある。3漁協(宮古島、伊良部部、池間)の組合長らは、今年から新たな取り組みで活路を切り開くことに意欲を示している。「新たな展望・観光漁業」をテーマに、3人の組合長に現状・課題・展望、今夏開催される「海族まつり」への期待と協力態勢を聞いた。


 現状・課題について

 -3漁協の現状・課題についてお聞かせください。

 
 小禄 正組合は187人で、近年減少の傾向にある。夏場の鮮魚市場では、魚類が多く上場されるために落札価格は安い。宮古島の人口5万人余りの市場では、販売量には限界がある。島外へ出荷したいが、輸送コストが高く、なかなか出荷ができない。

 
 浜川 正組合員は減少を推移し、現在は72人。若い組合員の加入拡大を目指したい。漁業形態は深海一本釣りが中心で、アカジンやアオマチなどの高級魚が水揚げされる。しかし、高齢化が進み、水揚げ量が落ち込んでいる。

 4人がモズクを生産しているが、ここ数年の取引価格が安いため、生産意欲が心配。

 ダイビング業者は16社。全員が一致協力するので助かる。

 
 友利 正組合は153人。最近では後継者が育ちつつあり、前途に明るい希望を持っている。

 2009年度に漁協が取り扱った漁獲実績は900㌧、金額にして2億5000万円。旧製氷機で製造された氷は質が悪かった。昨年新しい製氷機が稼働するようになり、漁師や仲買人、住民への良質な氷の供給態勢が可能となった。魚介類の鮮度保持が向上し、県内外への出荷に力を入れたい。経営基盤を強化し、健全な運営を確立したい。

今後の展望について

 -新たな取り組みと展望は。

 浜川 一本釣りカツオ漁業が再開できないものか、役員で検討している。再開前に必要なのは、かつお節やなまり節などを加工する工場建設。市と相談し、工場建設に向けて取り組みたい。工場を経営することは、新鮮なカツオの供給や女性の働き場の確保、地域活性化につながり漁業振興に弾みがつく。
 

 友利 昨年は7年ぶりに青年部が結成され、漁民運動会が9年ぶりに復活した。青年部の誕生で、漁業に活力が見えてきた。

 今年は県内では初めて、稚魚を集める魚礁が4基設置される計画。この稚魚は、一本釣りカツオ漁船が活用し、カツオの群れをおびき寄せるための餌として使うもの。餌が効率的に水揚げされることは燃料節減や大漁につながり、伊良部の発展に寄与する。

 
 小禄 今年から宮古島有限責任事業組合(宮古島LLP)の活動が本格化し、商品名「半生モズク」と「グリーンモズク」を製造する。半生モズクは、収穫したモズクの水分を半分取り除き、加熱殺菌したもの。グリーンモズクは、収穫した新鮮なモズクを加熱殺菌し冷凍したもので、ゆでることで鮮やかな緑色になる。宮古島の特産品として有望だ。

 商品は販売拠点となる静岡県の西光エンジニアリングに出荷する。同社は、同県をはじめ大阪府、北海道へ販売する。既に流通は確立されており、今年度で1000万円以上の売上げを見込む。宮古島LLPに出資したモズク生産グループのモズクは、キロ単価120円で買い上げる。高値の取引であるから、養殖モズクの生産増加になる。

 一方、自営の高野車海老養殖場では、今年から三つの養殖池で増産態勢に入る。取扱量は30㌧を見込む。本土市場での価格ランクは上位を維持しており、健全な組合運営に向けて期待は大きい。

地域活性化について

 -今夏、初めて「宮古島海族まつり」(仮称)が開催される。3漁協は共同漁業権を管理しており、その管理の上からも一致協力態勢が必要と思うが。

 浜川 すごいイベントである。この祭りは「宮古島の水産業、観光漁業を基本とした地域振興を図る」のが目的。八重干瀬まつりや深海一本釣り大会などあり、一致協力して盛り上げたい。

 小禄 全島ハーリー大会や各種水産教室、サンゴ養殖体験、シャコガイ養殖体験などもある。大勢の観光客が誘致可能で、地域活性化の起爆剤の一つになる。一致協力で、宮古島の素晴らしい水産業の魅力を県内外に発信したい。

 友利 旧伊良部町時代に実施し大好評を博したジャンボフィッシング大会が催される。この大会では、パヤオ(浮き魚礁)周辺で大物キハダマグロを釣る。過去のイベントを振り返ってみると、釣り手の格闘はダイナミックだった。観光漁業にも大きな役割を果たしていた。この大会の復活に向け、佐良浜漁師たちは、大成功させようと意気込んでいる。またイベントには、海のクリーンアップや水中フォトコンテスト、お魚の絵コンテストもあり、子どもから大人までが参加できるのが大きな特徴。地域が一体化することで活性化が広がる。3漁協の一致協力で新時代のビッグイベントにしたい。ジャンボフィッシング大会を機に、県内外に観光漁業を広くアピールしたい。


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