裁く難しさ実感/那覇地裁平良支部
子ども16人が模擬裁判/法曹三者の役割学ぶ
子どもたちが裁判の進め方を学ぶ模擬裁判が7日午後、那覇地方裁判所平良支部で開かれた。小学5年生から中学3年生まで計16人が参加し、法曹三者に分かれて刑事事件を進めた。有罪か、無罪かを決めるときの子どもたちの目は真剣そのもの。活発な意見を交わしながら人を裁く難しさと裁判所の役割を学んだ。
那覇地方・家庭裁判所平良支部の行事で、子どもたちに裁判所を身近に感じてもらうことが狙い。将来の進路や職業について考える機会の提供も兼ねた。
子どもたちは、はじめに裁判所を紹介する映像を視聴。法廷を見学した後、裁判官、検察官、弁護士に分かれて模擬裁判に挑んだ。
事件の舞台は、あるスーパーのおもちゃ売り場。男が1万円するゲームのソフトを万引きしたかどうかを争う刑事模擬裁判だ。
検察官役の子どもたちは被告がゲームソフトを上着のポケットに入れ、店員に声を掛けられると慌てて逃げようとしたので、「万引きをした」と主張した。
一方、弁護士役の子どもたちは、上着のポケットに入れていた財布を取ろうとしただけでお金は払うつもりだった。突然店員に声を掛けられて「怖くなって逃げた」と無罪を訴えた。
証拠調べを経て、別室で評議に入った。裁判官の松原経正さんは「ためらわないことが大切」とした上で①意見を言う②勇気を出して反論をする③意見を変えることを恐れない、ためらわない-と助言した。
すると子どもたちは活発な意見を出し合って有罪なのか、無罪なのかを真剣に議論した。検察官の内嶺康雄さん、弁護士の長尾大輔さんの助言も得ながら、最終的には執行猶予付きの「有罪」とした。
子どもたちは、一連の流れを通して、裁判所の役割や刑事事件の進め方を学んだ。内嶺さんや長尾さんからは、検察官や弁護士という仕事の魅力も聞き、職業選択の幅を広げた。
夏休みを利用して愛知県から宮古島のいとこの家に遊びに来ている氏原菜々美さん(木曽川東小5年)は「裁判のことをよく知ることができました」と笑顔で感想。「評議のときは複雑な気持ちにもなったけど本当に勉強になった」と体験学習の成果を誇った。