552柱のみ霊慰める/南静園
差別や偏見ない社会に
国立療養所宮古南静園(知念一園長)で毎年旧盆の中日に実施される慰霊祭が14日、同園の納骨堂前で執り行われた。知念園長や職員、入所者など関係者らが参列。552柱のみ霊を慰め、強制的に堕胎された水子の霊を供養した。差別や偏見のない社会を願った。
参列者全員で1分間の黙とうをささげた後、知念園長は「南静園で眠られる552柱のみ霊は、国や地域社会から激烈な差別を受けながらも、その人生をたくましく生き抜かれた方々である。ハンセン病のために親兄弟、地域社会から排除されて、それでも人間であることを貫き通して誇り高く人生を全うされた皆さま、今は心静かにお眠りになることをお祈り申し上げる」と哀悼の辞を述べた。
その上で「むなしく散らされて世に出ることのかなわなかった名も無き水子のみ霊に対しても、安らかに眠りに付かれることを心より願う」と語った。
さらに「ハンセン病は簡単に伝染する病気ではないこと、治る病気であること、恐れる病気ではないこと、ハンセン病にかかったことのある人に罪はないことを、入所者の皆さまとともに世の中に強く訴えていく」と強調し「皆さまの名誉回復のために鋭意努力していく」と強調した。
2019年8月14日現在、宮古南静園入所者は57人(男性30人、女性27人)で平均年齢は87・7歳。