「心の居場所が必要」/自殺防止対策講演会
沖大准教授樋口さん講話
宮古島市地域自殺対策強化事業講演会(主催・市障がい福祉課)が23日、市未来創造センターで開かれた。沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科准教授の樋口耕太郎さんが「あなたが大切」をテーマに講話した。樋口さんは「物理的な居場所は、居場所にならない。心の居場所が必要になる。それは自分の気持ちが誰かとつながったときに生み出される」と強調した。
樋口さんは大学の教壇に立ち、学生とのやり取りから感じたことなどを紹介。▽関心の関心▽自尊心▽孤独-を三つのキーワードに挙げ、人知れず陰で努力していることなどを評価することが重要だと述べた。
樋口さんは「自殺の原因は孤独だ。孤独は最悪の苦しみ。誰かが気持ちを理解してくれると感じたら孤独は解消される」と語った。
テーマとなった「あなたが大切」は、公共広告機構のCMの一文。命の大切さを教わるよりも「あなたが大切だ」と誰かに言われることが、生きる活力になることを表現したもの。樋口さんが全文を読み上げ、紹介した。
講演前には自殺に関する統計資料が示された。2009~18年の宮古島市での自殺者は計113人。約8割が男性。年代では40~60代と80代が多く、10代はゼロだった。
会場には多くの市民が集まり、時折、メモを取るなど真剣な表情で講話に聞き入っていた。