市、名誉毀損で市民を提訴へ/不法投棄ごみ訴訟
副市長「虚偽の主張繰り返した」
最高裁で市民有志の訴えが棄却された不法投棄ごみ訴訟について、市は原告の市民6人を名誉毀損(きそん)で訴える方針で29日、市議に説明した。訴訟は議会の議決が必要で、市議会9月定例会に議案として提案する。長濱政治副市長は、マスコミの質問に名誉毀損の理由として「1、2、3審とも原告側は全面敗訴した。それを真摯(しんし)に受け止めて言動は慎むべきだった」と述べ、最高裁が上告を棄却した後も報告会を開いたり、マスコミに虚偽の主張を繰り返したことを挙げた。原告代理人を務めた弁護士は「市の政策に対して異議を述べる市民に対する報復措置であると考えざるを得ない」と批判した。
長濱副市長は「全面的に負けたにも関わらず、原告市民は『裁判が悪かった』『自分たちの意見が通らなかった』などと報告会を開いて主張した」と指摘。「棄却されたにも関わらずそれを主張している。負けたことを認めてもらわないと困る」と述べた。
識者からの「行政が市民を訴えるのは報復ではないか」「市民活動の抑圧につながるのではないか」という声には「市も法人だから市の名誉を守りたい。何でもかんでも言って良いというわけにはならない」と述べた。
損害賠償額の1100万円の根拠については、1~3審までの市の裁判費用540万円、今後の訴訟費用100万円、残りの460万円分が損害賠償金だとした。
提訴を決めたのは、原告市民らが7月26日に開いた「不法投棄ごみ残存問題裁判」の最終報告の後で、最終的には市の幹部らで構成する庁議で決定したという。
一方、不法投棄ごみ裁判で原告市民の代理人を務めた喜多自然弁護士は、市が市民を提訴することは想定していなかったとし「通常あり得ない訴訟。聞いたこともない。全国的にもまれな訴訟だと思う」と話した。
その上で「市民が住民訴訟を起こすと、今度は市から訴訟を起こされるとなると、政策に対する議論や検証も難しい雰囲気になる」と話した。
同訴訟で原告市民の一人は「市に盾突くものに対しての見せしめのようなものだ」と憤りを見せた。