フライ&クルーズを推進/日本観光振興協会
拠点化向けモデル事業/経済活性化へ官民連携
「フライ&クルーズ」の推進を通じて地方経済の活性化を図るモデル事業が宮古島で動き出す。クルーズの拠点化を図り、利用客の滞在日数を延ばして経済効果の最大化を狙う。日本観光振興協会と国土交通省海事局が設置した検討委員会が30日、市役所平良庁舎で開かれ、官民の代表が出席してフライ&クルーズの魅力と可能性を探った。
フライ&クルーズとは航空機による移動とクルーズを組み合わせた観光スタイルを指す。クルーズを楽しみたい利用客は居住地からクルーズ発着地へ航空機で移動。その後、クルーズを楽しむという流れだ。
クルーズ発着前後には宿泊を伴うことから利用客の滞在時間が延びる。仮に宮古島が発着地になれば、宿泊を伴わない現行クルーズの課題が解消され、同時に経済効果が期待できる。
事業の内容としては、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や動画共有サービス等を駆使して世間に大きな影響力を与える欧米豪の外国人インフルエンサー数人を招へいして実態調査を行う。
滞在時間延長のための観光メニュー体験やSNSを活用した情報発信、クルーズ船乗船体験などを通して可能性を探り、観光消費額の拡大や既存の二次交通の整備・活用のあり方を検討してモデル化を進める。
検討委員会は国や県、宮古島市のほか、観光団体や企業の代表で構成されている。日の会合は冒頭のみ公開され、主催者で日本観光振興協会審議役の丸山裕司さんは「宮古島には多くのクルーズ船が寄港し、アジア中心の客を受け入れている」と現状を示し、「この需要性は前提にしつつも滞在日数が長く、良質な観光コンテンツに価値を見いだす欧米豪の客の受け入れに取り組みながらフライ&クルーズの推進を目指し、他の地域のモデルに仕上げていきたい」と話した。
下地敏彦市長は「クルーズ船は増えているが、朝に来て、夜には帰る。私たちの悩みだ」と憂い、「滞在日数をどうやって伸ばして経済の活性化につなげるかが課題になる」と述べ、滞在日数が延びるフライ&クルーズに期待を寄せた。
委員長に選出された沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、クルーズ需要における沖縄の先進性を挙げ、「フライ&クルーズへギアを上げていくタイミングだ。宮古島で可能性を追求し、突破口にしていくことに委員会の意義がある」と話し、活発な意見交換を促した。