生物的価値の高さ共有/ミヤコカナヘビ
希少種保全で連絡会議
宮古島の希少種保全、外来種問題(イタチ、クジャク)に係る複数の事業関係者による2回目の連絡会議が3日、市生活環境部環境衛生課(市クリーンセンター)で行われ、絶滅危惧種に指定され、6月には県指定天然記念物にも認定された「ミヤコカナヘビ」の生物的価値の高さを再確認した。
さらに、同種を捕食している可能性のあるクジャクや実際にふんから同種が確認されたニホンイタチなど、外来種の脅威についても報告され、固有種保全の取り組み強化に向け、外来種の防除事業などについても意見を交換した。
この連絡会議には、国、県、大学など官学の担当者が参加。島の希少な固有種を「日本の宝」と位置付け、その保全に向けてそれぞれの分野における報告を行い、今後の課題を共有することを目的に昨年から行われている。
「ミヤコカナヘビ」は、全長が雄・雌ともに約㌢ほどで、体長の約75㌫を占める長い尾が特徴。
40万年前まで海没状態だったとされる宮古の地史に対して、「ミヤコカナヘビ」はそれよりも古い種であることから、島の地史とも整合しておらず、その観点からも重要な生き物と位置付けられている。
今回の天然記念物指定について県の担当者は、宮古島の地史や環境について考えてもらうことにつながり、地域の宝としての再認識に期待を寄せた。
一方で、現状では具体的な保護策がないことを説明しながら、教育的な視点での保護策の検討が必要との見解が示された。
また、調査・保全の報告では、予想よりも広域に生息が確認されていることも確認されたものの、以前のように高密度に生息する場所は限られていることも示された。
保全に向けては、植生環境(すみか)と植物環境(食べ物)に着目しながら、安定的に生息できる環境条件を明らかにしていくとしている。
そのほかにも、過去4年間余の野外調査および生息域外保全の取り組みを通して、生態学的な知見が飛躍的に増えたことや、飼育下繁殖の技術がほぼ確立し、コンスタントに増やせる種であることが判明したことも報告された。
そうした状況を踏まえて、保全に向けてより実践的な次の試行に進むべき時期とし、生息域内(野外)と域外(飼育下)の取り組みを適切に組み合わせることなども示された。