市、提案議案に誤り/市民への名誉毀損訴訟
民法条項に刑法文言引用/副市長「特に意図ない」
開会中の市議会9月定例会は4日、提案議案に対する質疑が行われ市が提案した市民6人を名誉毀損(きそん)で訴えるとする議案について、与野党から質問が集中した。その中で、國仲昌二氏が提案議案の文言で記されている「民法723条」の内容が同条の文言ではなく、「刑法230条」の文言の一部がそのまま用いられていることを指摘。國仲氏は「これ(正確ではない内容の文書)を議会に出すのは非常に問題がある」と訴え、今後行われる総務財政委員会の中でも徹底的に追及する構えを見せた。
問題となったのは、市が今議会に提出したこの問題についての議案書で「民法723条」について「公然と事実を摘示して他人の名誉を毀損した者に対して損害賠償請求ができると規定している」としている。
しかし、実際の723条には「裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、または損害賠償とともに名誉を回復するために適当な処分を命ずることができる」などとなっていて、市の議案書に記された文言はない。
一方で「公然と事実を摘示して他人の名誉を毀損した者は」という表記は刑法230条の文言となっているほか「規定している」との文言は、その条項にもないことを國仲氏が厳しく指摘した。
この質問に対して長濱政治副市長は、文書については市の顧問弁護士と相談した上で作成したことを説明した上で「解説等にそのような形の表現があったので、それを引用した。必ずしも723条にそっくりそのままではない」と答弁した。
さらに「こうした記載に意図があるわけではなく、解釈上の話をこのような意味があるという風に書いたのであり、特に意図はない」との見解を示した。
これを受けて國仲氏は「市の文書では『民法723条』の内容について、『刑法230条』の文言をそのまま適用している。これは大変な問題。議会に対して出した文書が調べてみると全然違う。これを議会に提案することは非常に問題がある。これについては今後の委員会の中で追及する」と語気を強めた。