市民提訴議案 採決先送り/市議会総務財政委
与党が申し出、24日に/「市長の見解を聞き判断」
開会中の宮古島市議会9月定例会は11日、総務財政委員会(山里雅彦委員長)で不法投棄ごみ撤去事業の住民訴訟をめぐり市が原告の市民6人を名誉毀損(きそん)で裁判に訴える議案の採決を行おうとしたが、多数を占める与党側が先送りを申し出、結局、24日に採決を持ち越した。与党側は「一般質問で直接市長の見解を聞いた上で判断したい」と説明。24日の一般質問終了後に再度、委員会を開いて採決する。
市民に損害賠償を求める裁判は、市が2014年度に実施した不法投棄ごみの撤去事業で、市職員と業者が処理量を偽って報告した上、市職員が計量データを改ざんした問題について市民が住民監査請求、住民訴訟を提起。最高裁まで争ったが違法性は認定されず敗訴した。この訴訟の報告会での代理人弁護士の発言について、市は「市の名誉を毀損された」として、訴訟の原告6人に1100万円の損害賠償を求めようとしている。
11日の委員会で野党の國仲昌二氏は議案に反対を表明。國仲氏は議案書の提訴理由が「民法723条」に照らしているが、条文が全く違うことなどを指摘し「全く違うものを議案として審議することはできない。議会を侮辱している」。また類似の判例や市を批判する多くの識者コメントを紹介し「市民に反訴され、敗訴の可能性もある」と訴えた。
また市が提訴しようとするきっかけが市民の代理人弁護士の発言だったことから「弁護士は裁判の経過を報告しただけ。それがなぜ市民が市の名誉を毀損したことになるのか疑問」と批判した。民事訴訟の2審や市議会の調査特別委員会の報告書でも事業の事務処理のずさんさは指摘されてきたと経過を説明しながら反対した。
一方、与党の新里匠氏、粟国恒広氏が相次いで「委員会の質疑では総務部長から説明を聞いたが、一般質問で市長と副市長から直接見解を聞きたい」と採決の先送りを提案。結局、この日の採決は見送られ、24日の一般質問終了後に改めて委員会を開いて採決することでまとまった。