再提出断念求める/市民提訴議案
県内5弁護団が声明
最高裁が棄却した住民訴訟で、原告だった市民6人を市が名誉毀損(きそん)で提訴する議案(すでに撤回)を市議会の9月定例会に提案した問題で、原告住民側の弁護団を含む県内の住民訴訟に関わる5弁護団は20日、市に議案の再提出断念を求める声明を発表した。
この問題は、最高裁で市民有志の訴えが棄却された不法投棄ごみ訴訟について、市が今定例会に原告だった市民6人を名誉毀損で訴える議案を提案。
しかし、議案の内容に不備があったとして、下地敏彦市長が議案の撤回を申し出て、18日に全会一致で撤回が承認されるも、再提案については明言を避けていることから、その可能性は残っている。
声明では「議案書の撤回は市民運動の大きな成果だが、訴訟費用として60万円余りを計上した予算案はいまだ撤回されていない」と指摘。
その上で「予算案を速やかに撤回し、議案書の再提出断念を求めるとともに、仮に再提出されれば、議会が良識と道理に基づいて速やかに否決することを強く求める」としている。
そのほかにも声明では、市側が訴訟代理人の発言が名誉毀損に該当していると主張していることについても「そもそも市の社会的評価を低下させるものではない上、訴訟代理人の発言をもって、住民訴訟の原告らが市の名誉を毀損したと構成すること自体非常識であり、成り立ち得ない」と訴えた。
また、最高裁判決後に判決や市政を批判することについても「確定判決といえども当事者および学者等から批判を受けて、法解釈が発展していくもの。訴訟で敗訴しても、判決文で行政の事務処理のずさんさ・不当性が指摘されており、その観点からも市政に対し是正を求めることは住民主権(住民自治)から当然のこと」としている。
5弁護団としては「民主主義の原理を損ねるスラップ訴訟提起に断固反対し、市民とともに最後まで闘う決意を表明する」としている。
声明を発表したのは、宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団▽高江弁護団▽識名トンネル住民訴訟弁護団▽石垣市教科書問題住民訴訟弁護団▽やんばる命の森第3次住民訴訟弁護団-。