シンポ関連企画展が開幕
市博物館
稲村賢敷生誕125周年記念
郷土史家・教育者である稲村賢敷(けんぷ、1894~1978年)が倭寇(わこう)研究のために県内各地の遺跡から採集した、多数の資料を収蔵する市博物館で2日、資料の一部を紹介するシンポジウム関連企画展(主催・市教育委員会)が開幕した。今回は14~16世紀の資料を選択し、城辺の上比屋山遺跡で出土したと思われる高麗系瓦も展示している。13日まで。
6日午後1時から市未来創造センターで開催される稲村賢敷生誕125周年記念「海域アジアと倭寇研究」シンポジウムの関連企画展として開催されている。
市教委によると、倭寇とは、単に武装した海賊集団ではなく、海での交易などをなりわいとした海域集団であり。その交易活動の過程において武力を用いることがあった。
彼らがなりわいとする海域は、非常に広範囲で、中国大陸、東南アジア、宮古・八重山・沖縄・奄美諸島、トカラ列島、九州に広がる海域がその舞台であったとされる。シンポジウムでは、特に県内においてこれらの活動が活発化する13~16世紀を対象年代とし、東アジア海域におけるヒトとモノの交易活動と、これまでの県内遺跡の発掘調査の成果との関連性について考える。
稲村は1957(昭和32)年、これまでの倭寇研究成果の集大成の一つとして『琉球諸島における倭寇史跡の研究』を発刊した。
上比屋山遺跡は14~15世紀ごろの集落遺跡ともされる。60年代、上比屋山遺跡の性質をめぐり、稲村が「倭寇の根拠地」説、郷土史家・考古学に詳しい下地馨が「海外貿易の中継基地」説を展開する論争が起こった。
博物館の開館時間は午前9時~午後4時30分(入館は午後4時まで)。問い合わせは(電話0980・73・0567)まで。