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産業・経済
2010年12月29日(水)16:40

伊良部に送水へ/宮古伊良部地区国営かんがい排水事業

仲原ダムの建設進む


仲原ダムの建設現場にそびえ立つ削孔機

仲原ダムの建設現場にそびえ立つ削孔機

 宮古における国営かんがい排水事業は、1971年の186日間に及ぶ大干ばつがきっかけとなった。宮古地区を対象に87年に着工した第1次は、2000年に完工。第2次の宮古伊良部地区は、2009年4月に着工した。総事業費523億円のビックプロジェクトは、仲原ダム建設と、伊良部導水管敷設が始まり、本格化した。


 伊良部導水管は、野原岳に建設する宮古吐水槽から伊良部大橋を通して、伊良部の牧山ファームポンド(FP)とを結ぶ16・1㌔。10年度までに、このうち4・4㌔の敷設が完了する。伊良部への送水は、仲原ダムの水を標高の高い野原岳の吐水槽を経由して、牧山FPに自然流下させる設計になっている。

 仲原ダムでは、止水壁の総延長2350㍍のうち、126㍍の工事を発注した。第2次では水源開発を優先するとともに、既存のFPや送水路を活用し、事業効果を早期に発現させる。

 第2次の事業費は10年度までに約28億円が投じられ、総事業費(523億円)ベースの進ちょく率は5・4%に達した。

 第2次は、宮古島における十分な農業用水の確保と、伊良部島での宮古島と同様な水利用農業の実現を目的とする。

 同事業では仲原ダム(有効貯水量920万㌧)と保良ダム(同160万㌧)を新たに建設。既存の砂川(同680万㌧)と福里(同760万㌧)、皆福(同40万㌧)を合わせた総有効貯水量は2560万㌧となり、現在の1・7倍に増える。

 第1次地下ダム事業は、干ばつ期の6~9月に対応できる設計で、関連事業の末端施設整備がこのまま進むと、16年には水不足になると予想。第2次では、この不足分を充足しサトウキビや野菜、果樹ハウス、牧草地などに1年中使える水量を確保する。受益面積は宮古7805㌶、伊良部1351㌶の計9156㌶となっている。

 第2次では仲原、保良両ダムのほかにファームポンドなど2カ所、用水路55㌔を整備する。事業完了は20年度を予定している。

 砂川、福里ダムを建設した第1次事業は、93年に散水を開始した。以降、サトウキビの収量が増え、野菜や果樹ハウスの面積も拡大を続けている。

 城辺砂川の友利研一さんは、畑に水が入る前にトウガン(10㌃)とスイカ(22㌃)のハウス栽培を始めた。当時は、2㌧の水が入るタンクをトラックに積んで水源と畑をピストン往復。10㌃に6~8㌧をかけるのに3時間かかった。現在の潅水は、給水栓のコックをひねるだけであっという間。経営規模はメロン(約40㌃)、インゲン(15㌃)に拡大した。

 友利さんは「潅水に費やしていた労力を栽培管理に回せるようになり、面積を増やせた。栽培ステージに合わせて潅水量をコントロールできるため、収量も増える。水によって所得が増え安定した。水が無かったら、農業はしていなかった」と水の効果を強調する。

 水利用のメリットには①干ばつ解消と収穫量の増加②営農労力の低減③多様な作物の導入-などが挙げられている。


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