地域振興へ官民連携/市、経済団体が懇話会
各分野の課題を共有/キビ施設建設方針も確認
宮古島市と経済団体の懇話会が11日、市未来創造センターで開かれた。圏域経済をけん引する観光分野を中心に意見を交わし、官民の連携を強化して地域経済の振興発展に取り組む決意を共有した。この中で、市がサトウキビの増産に向けて独自に種苗センターを建設する方針を表明。これまで東村にある種苗管理センターの分室を誘致してきたが、好転が見られないため単独でセンターを設置する方向にかじを切った。
懇話会は市と宮古島商工会議所が主催し、毎年開かれている。経済団体側は同会議所や観光協会、建設業協会、青年会議所、各漁協組合、JA宮古地区本部などの代表が参加、市側は主に部局長が出席した。
懇話会は、事前に提出していた要望にそれぞれが答える方式で進められた。
この中で、JAは下地島における農用地の利用状況を聞いた。市農林水産部の松原清光部長が答え、同島農用地ゾーン85㌶のうち耕作地の約61㌶を農家43人が利用していると説明した。
サトウキビの種苗センターの設置案は、今後の展望をめぐる意見交換の中で示された。松原部長が「増産に向けて優良種苗の確保が必要になるため、市の種苗センターの建設に向けて取り組んでいる」と述べた。
センター建設予定地が下地島であることから「下地島地区農地基盤整備事業の早期導入を県へ要望し、農業の振興および地域の活性化を図りたい」と語った。
現在、サトウキビの種苗は東村にある独立行政法人種苗管理センターから搬入している。この種苗を委託農家が栽培して苗を増やしているが、事業効果が十分に得られていない。このため市は国や県に対し、種苗管理センターの分室を造るよう要請を続けていた。
だが、分室設置のめどが立たないことから方針を転換。センターそのものを建設し、市が一括管理して優良苗を確保する方針だ。
懇話会ではこのほか、旺盛な観光需要に伴って激変する宮古島の社会環境に関する要望が相次いだ。
商工会議所は宿泊税等の導入を要望。市は、県が宿泊税の導入を検討していることを踏まえ、市独自の議論は中断していることに理解を求めた上で、「本市の観光振興に寄与できる制度設計になるよう意見を提出している」とした。
観光協会は下地島空港の管理用道路活用の観点から駐車場整備を要望した。市は「今後、17エンド手前の市有地に駐車場の整備等を検討している」と答えた。
建設業協会宮古支部は宮古空港横断トンネル道整備について市の考え方を聞いた。これに市は「早期実現に向けて要望していく」と整備に前向きだった。