診療費未収金2億3800万円/宮古病院9月末
11月から対策強化月間/医療サービス低下懸念
宮古病院(本永英治院長)は11月を「診療費個人負担分未収金対策強化月間」として回収への取り組みを強化していく。2019年9月末現在までの診療費未払金は約2億3802万円で対前年比で約1400万円減少。4年連続での減少となるも依然として2億円を超える累積未収金があることから、同病院では「未収金が増えると病院経営が圧迫され、医療サービスの低下につながる」と懸念し、滞納者への納付を呼び掛けた。これまで2237人の未納があり、悪質と思われる滞納者について17年度は1件の法的措置を実施した。
未収金件数の内訳は、分割納入中が539人(約5804万円、24・4%)、納入約束不履行416人(約3234万円、13・6%)、住所不明や患者死亡相続人不明等のその他が799人(約8689万円、36・5%)、自賠責委任申請中61人(約573万円)、社会福祉制度申請中22人(約90万円)などとなっている。未収金の最高額は530万円。
未収金が発生する要因については▽生活困窮で支払い能力がない▽健康保険料未納に伴う自己負担分の増加▽支払い約束の不履行-を挙げている。
同病院では「経済的に苦しい場合は相談してほしい。また、健康保険料が未納になると、医療費が全額負担になるだけでなく、高額医療費制度も利用できなくなるので保険料はしっかり納めてほしい」と呼び掛けた。
医療費の未収金のうち、保険料の未納を含む保険証が確認できずに自費診療となった割合が最も多く46%。次いで国保加入者が34%となっている。
未収金対策について、同病院では▽支払い約束不履行者への文書督促(分割納入中を除く)▽高額未収者への電話や訪問による督促▽特に悪質と思われる未収者に対する法的措置-を実施するとしている。
本永院長は28日、同病院で会見し、「宮古病院の経営は独立採算。未収金の増加により病院の経営が圧迫された場合は医療機器の修繕や新規購入ができなくなるなど患者への医療サービスの質の低下や安全な医療が提供できなくなる等の問題が発生する恐れがあり、危機感を持って対処する必要があると感じている。地域医療を守るためにもその縮減に向けて理解と協力をお願いしたい」と述べた。