廃校跡に牧場整備案/宮古馬保存計画
策定委、利活用に重点/収入生む経営戦略も柱に
宮古馬の保存計画を策定する委員会(委員長・下地明市生涯学習部長)の第2回会合が30日、市役所城辺庁舎で開かれ、年度内にも策定する計画の骨子が示された。保存に向けて牧場の必要性を共有し、学校規模の適正化で廃校になった跡地に整備する計画案を確認した。観光コンテンツの創出など宮古馬の利活用も重視。実効性を伴う経営戦略を打ち出し、保存と活用の双方が相乗効果を生み出すサイクルを構築する。
保存計画案のコンセプトは「保存のための利活用の模索から、利活用の結果として宮古馬の保護保存が可能となるモデル」だ。
望ましい利活用と安定的な飼育のために、頭数を種の保存に必要と考えられている100頭(現在は島内外で約50頭飼養)まで増やすことを目標に据えた。
これらの目標の達成に向けては▽近交係数(近親交配の程度を表す指標)を考慮した計画的な繁殖計画の構築▽交配や育成のための施設(牧場)の確保▽繁殖計画を実施するマネジメントの実施▽増頭するための飼養管理費用の確保▽飼養家の確保と育成▽宮古馬の馴致調教技術の向上▽宮古馬の認知度向上▽医療体制の構築-を課題とした。
牧場整備については広いスペースを確保できる学校跡地を活用。雄馬と雌馬を分けて管理することや、施設周辺で牧草を栽培することの必要性が示された。
観光コンテンツを重視して利活用を促進する。宮古馬と触れ合ったり、引き馬や乗馬、馬車を体験できたりする持続可能な活用の検討を進める。そのための経営戦略を打ち出す。
小中学生を対象とした乗馬教室の実施など教育面での活用や、ホースセラピープログラムなど医療面での貢献も模索していく。
こういった利活用の実践を保存につなげる。宮古馬を飼養する農家の負担軽減や経済的メリットを図りながら保存と活用のサイクルを回し続け、天然記念物保護の持続性を維持する。
委員会は、市の職員ほか荷川取明弘さんら宮古馬の飼養管理者、県家畜改良協会宮古出張所の川上政彦さん、東京農業大学准教授の川嶋舟さん、市史編さん委員の長濱幸男さん、県文化財課指導主事の新城憲一さんらで構成されている。
委員会の冒頭、宮古馬保存会の会長を務める宮國博教育長は「天然記念物の視点から、何としても保存していきたいという強い気持ちがある。計画を策定して保存のための条件整備を整えていきたい」と話した。