県文化功労者に源河、砂川さん
糸績みと砧打ち保持者/宮古上布保存継承に尽力
県文化振興課は2019年度県文化功労者15人を発表した。宮古関係では伝統工芸で宮古苧麻糸績(う)みの源河サダさん(82)=市城辺=と宮古上布の砂川猛さん(80)=市平良=が表彰される。県文化功労者は芸術文化の振興や文化財保護など、県の文化振興に功績のあった個人や団体を知事が表彰する。表彰式は18日午後2時から県庁で開かれる。
源河さんは長年、国選定保存技術「苧麻糸手績み」の保存継承と研さんに努め、後継者の育成、宮古苧麻糸手績み技術の普及発展に尽力した。2003年に苧麻糸手績みが国選定保存技術となった。元友利苧麻緯糸手績み技術保存会長。
受賞に源河さんは「とてもうれしい」と喜んだ。小学校低学年のころから、糸績みに触れた。「雨降りの時や夜に母親から教えられた。とても楽しかった」と振り返る。保存会に関わったのは40歳代のころからで約40年間、城辺友利で地域の人たちや子供たちに技術を伝えてきた。現在は介護施設に入所しているが、施設でも糸績みが欠かせない。朝の食事を済ませると、時間を置かずに数人の仲間と糸績みにいそしむのが日課となっている。
砂川さんは国指定重要無形文化財「宮古上布」の砧(きぬた)打ちの技術保持者。砧打ちは布を木づちでたたいて繊維をつぶし表面を平らにする作業。繊維がつぶされ隙間が埋まることで布に光沢が出る。宮古上布保持団体代表代理。14年に全国重要無形文化財保持団体協議会の功労者表彰を受けた。
砂川さんが砧打ちを始めたのは約20年前。当時、砧打ちの技術者の一人が亡くなり、宮古上布の国指定が外される危機にあったという。祖父や父玄茂さんも砧打ちの技術保持者だったこともあり、上布保持団体で研修に励み、砧打ちを本格的に始めた。砂川さんは「文化は生活そのもの」とし、「市場調査でほかの産地も訪れるが、すべての産地が後継者育成や活性化に悩んでいる。若い人の声、ユーザーのニーズに応え、売れるものを作ることが大事だ」と話した。受賞には「私よりキャリアの長い人もいる中での受賞は戸惑いもある」とはにかむが、上布を語る口調は熱い。