冷房「26度」低設定/エネルギー消費実態調査
ウオーターサーバー設置多く/宮古「ベース消費量」高い傾向
エアコン(冷房時)の設定温度は何度ですか-。そんな質問に対する市民の回答は「26度」が最多で、沖縄本島や九州、関東の設定温度と比べて低いことが専門家によるエネルギー消費実態調査で分かった。ほかに顕著なのは、ウオーターサーバーや冷蔵、冷凍庫の保有率および炊飯器(保温)の利用率の高さだ。昼夜の区別がなく、一定量の消費を行っている電力を指す「ベース消費量」が比較的高い実態が浮かび上がった。
今回の実態調査は、東京大学生産技術研究所エネルギーシステムインテグレーション社会連携研究部門の八木田克英さんと岩船由美子さんが実施した。
需給バランスを維持するために、需要側が電力の使用を抑制して消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」の可能性を探ることが目的で、宮古島におけるエネルギー需要やライフスタイル、習慣、考え方を調べた。市内1623世帯から回答を得て、関東や九州の実態と比べた。
使用しているキッチン家電は、電気ポットは少ないが、ウオーターサーバーが多く、日本宅配水&サーバー協会調査による全国普及率6・6%を上回った。
冷房の設定温度は26度という回答が最も多く、全体の36%だった。さらに低い25度は13%、24度の回答も11%あった。他の調査対象地域は沖縄本島も含めて27度が最多で、宮古島の低さが際立った。消費電力が増加する要因の一つだ。
炊飯器の使用は、ご飯を炊いた後、日付が変わる時間帯まで保温している世帯が%を占めている。これもベース消費量を上げる要因の一つとみられる。
入浴時に湯張りをするのは夏が15%、冬でも40%と低く、湯船に漬かって入浴する習慣があまりないことが数字で示された。
冷蔵庫の使用台数は「2台」と答えた世帯が20%で調査対象地域では最も高い比率になった。また、冷凍庫を保有する世帯も全体の27%と最も高かった。
こういった実態調査の結果から、調査・研究した八木田さんらは「ベース消費量が高い住宅が多い可能性があり、デマンドレスポンスの前に、まずは省エネ対策を検討することが重要と思われる」とまとめ、エネルギー消費行動に関する意識改革の必要性に触れた。
また、湯張りをする世帯の少なさから「給湯需要が少ない傾向が見られた」と分析し、「(太陽光等を動力とする)ヒートポンプ式給湯器のデマンドレスポンス資源利用としては難易度が高い」と総括。電力の需給バランスを踏まえ、今のエネルギー需要の中で同様の給湯器を普及させる取り組みの限界を指摘した。