「私宅監置」、闇の歴史紹介/市未来創造セできょうから写真展
精神障がい者を監禁/宮古で撮影の写真も展示
小さな小屋の中に精神に障がいのある人を監禁していた「私宅監置」。かつての日本に存在した精神障がい者に対する制度で、自宅の一室や物置小屋、離れなどに専用の部屋を確保して精神障がい者を合法的に監禁していた。この制度の中で精神障がい者の心身が深く傷付けられた歴史を紹介する写真展「闇から光へ 知られざる沖縄戦後史~精神保健の歩みを見る・聴く~」(主催・県精神保健福祉会連合会、ふれあいプラザ宮古)がきょう14日から市未来創造センターで開催される。
同展では、小屋の暗闇の中で何年も過ごし、人間としての尊厳も奪われた人々の苦しみの歴史について、関係者などの証言を記録した約50枚のパネルと監置小屋のレプリカなどを設置して紹介する。
期間は17日までで、時間は午前10時~午後5時まで。入場料は無料となっている。
同制度は、国内では1950年に廃止されたが米軍統治下の沖縄では本土復帰の1972年まで残った。
宮古地域でもこの私宅監置の小屋は確認できただけでも10カ所以上あり、会場でも宮古各地に点在した監置小屋の写真が展示されている。
宮古島で撮られた写真の中には、症状を発症した兄弟で小屋に入れられていた様子や池間島の監置小屋で過ごす男性の写真などが展示される。
当時の宮古島には病院に精神科もなく、他人への暴力や放浪癖、盗みなどを行う患者が社会に迷惑を掛けないよう家族が小屋などを設けて監禁状態にしていた。
米軍統治下の当時、琉球政府立宮古病院で1960年代後半に精神科を開設した時のメンバーだった元看護師の島尻清さん(73)は「当時、患者の家族は貧しい農家も多く、経済状況からも『監置』しか考えられなかった部分もあると思う」と話す。
さらに「病院も環境も整っていない中で、患者を監置小屋に入れておくことは家族にとってもつらく大変だったと思う。時代的に仕方なかったのかもしれないが、悲しい歴史」と振り返る。
展示されている写真は、1964年に東京から派遣医として沖縄に訪れていた岡庭武さんが撮影していたもので、その後に元琉球大学教授の吉川武彦さんが保管していたもの。
主催するふれあいプラザ宮古の松川英文施設長は「こうした負の歴史があったことをしっかり知ることで、つらかった当事者たちの人生に光が当たることを願っている」と話し、多くの来場を呼び掛けた。