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社会・全般
2019年11月16日(土)8:54

【行雲流水】(ボケ老人と地域支援)

 高齢になるにつれて身体機能にいろいろな問題がおこる。中でも知力の衰えを本人は気づいてなく身近にいる人が日常の生活の中で変化に気づいて「ボケが始まったかな」と気にしだすのが通例だ

▼認知障害が始まったといえ、高齢者もみんなと同じように生活を楽しめるはずだが周りの人たちの態度というか接し方によって穏やかな日常を過ごせるか、差別されてしまうか両極端の現象がおこる

▼効率・競争を強いる社会にあっては後者のような事態になりかねないが人と人のつながりを大切にする社会では、前者のようなことが学術調査で明らかになっている

▼大井玄氏の著書「『痴呆老人』は何を見ているか」に引用された元県立宮古病院長の真喜屋浩氏の論文「沖縄の一農村における老人の精神疾患に関する疫学的研究」で真喜屋氏は「敬老思想が強く保存され、実際に老人があたたかく看護されている土地では、老人に精神的葛藤がなく、たとえ器質的な変化が脳におこっても、この人たちにうつ状態や、幻覚妄想状態は惹起されることなく、単純な痴呆だけにとどまると考えられるのである」と結論づけている

▼このような事例をもとに大井氏は「被害妄想、夜間せん妄、幻覚、攻撃的人格変化といった周辺症状が現れないかぎり、『純粋痴呆』(周辺症状のない穏やかな痴呆=単純痴呆)として平和的共存が可能であり、その現象は地域全体で実現できる可能性がある」と述べている

▼人々のつながりが希薄化した現代社会で大井氏の期待する可能性を具現化するには市と社協の協力にとどまることなく町内会幹部、老人クラブ、民生委員等の協力が求められるのではないか。(凡)


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