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社会・全般
【行雲流水】(近江商人)
「近江商人」の商道徳は、松下幸之助の経営理念の原点だったという。400年以上も前から近江商人が培ってきた伝統的な商法は、「三方よし」の考え方だった
▼「売り手によし」「買い手によし」「世の中によし」の「三方よし」でなければ、商売は長続きしない。現代風に言えば、生産者、消費者、社会の三者の利益が鼎立(ていりつ)して、はじめて持続可能な商売が成り立つということであろうか
▼客に喜ばれ、店がもうかり、世の中のためにもなる「三方よし」の考え方を身につけていた近江商人は、たとえ行きずりの〝行商人〟であっても信用を得てネットワークを広げ、財を成したという
▼一方、薩摩では400年来の「郷中教育」の伝統があった。6歳から15歳までの少年たちを、15歳~18歳の兄貴分の先輩が剣道、相撲、読書を通して鍛えた。指導理念は「競争には負けるな」「弱い者いじめをするな」「嘘をつくな」。一見矛盾する三つ巴の困難な生き方を、情理をつくして体得させたという
▼現代は、法治主義の時代。法律で明示的に禁止されていなければ「何をやってもいい」と思っているフシがある。その延長線上に「バレなければいい」との安易な考えが生まれたのであろうか。偽装や手抜きの巧者が知恵者であるかのような風潮さえ生んでしまっている
▼報道でみる最近の世相は、〝根無しカズラ〟のように見える。生きる力の根源は「誠実さ」にあったはずだ。近江商人の信用力の源泉などを反芻(はんすう)してみる必要があるように思えるのだが。(柳)